劇場公開日 2021年6月18日

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「カメオ出演とそっくりさんに紛れ込ませた社会派メッセージ」グリード ファストファッション帝国の真実 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0カメオ出演とそっくりさんに紛れ込ませた社会派メッセージ

2021年6月28日
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鑑賞方法:映画館

昔売れたアーティストが本人役で出演して、笑いにしようとする映画がたまにある。それが大好きなアーティストだったりすると切なさは倍増だ。「なんちゃって家族」という映画にベン・フォールズが出てきたときには少し切なかった(反動でめっちゃ笑えたのも事実)。
本作でもあるアーティストが本人役で出演し、あの名曲を歌う。本物?そっくり?と怪しんでしまうのも本作の特徴。有名人のそっくりさんも多数登場するから。ただし、いろんな有名人がちゃんと本人役で出演していることも確かではある。DJやってたのはファットボーイスリム(ノーマン・クック)だった気がするんだけどな。
肝心のお話は、前半過去と現在の切り替わりが若干わかりづらいので少し退屈。ファストファッションの成功者であるリチャードが、威厳を保つために開催する誕生パーティーを軸に、彼の栄光の裏側を描いていく構成。コメディなのかサスペンスなのかヒューマンドラマなのか、どう受け取ったらいいのか戸惑ってしまった。結局、最後の説明を観て、社会派なメッセージを伝えるための映画だったのかもしれないと納得。
リチャードが築き上げた帝国はとても危うい。途上国の安価な労働力がないと成り立たない。植民地政策を取る帝国主義的な構造だ。そして、その子どもたちがそれを引き継いでいくってこともある意味帝国的。富の集中という現代社会の闇をこんな形で伝える映画があってもいい。

kenshuchu