ミナリのレビュー・感想・評価
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観終わってからジワジワ来る
韓国系アメリカ人の存在の証明となる作品
アカデミー賞作品賞にノミネートされましたね。
『対抗』という位置付けでしょうか。
舞台は1980年代のアメリカ南部はアーカンソー。カリフォルニアからこの地に引っ越してきた韓国系アメリカ人の家族を描いた。
父親は妻とともに働いて貯めたお金で荒れた土地と古びたトレーラーハウスを購入した。年間3万人という韓国からの移民をあてに、韓国の野菜を育て成功しようとするがままならない。
成功への強い思いが父親を迷わせた。家族を第一と考え堅実な生活を望む母親との距離が広がった。
韓国から呼び寄せたおばあちゃん(お母さんの母親)が救世主になるかと思いきや。
ラストの悲劇は呪縛からの解放でもあった。
おばあちゃんが植えたミナリ(せり)が川辺に生い茂った。そこに眩いばかりの太陽の光が降りそそいだ。やはりおばあちゃんは救世主だった。
これは監督のリー・アイザック・チョンや父親を演じたスティーブン・ユァンの子供の頃のお話し。多くの韓国系アメリカ人にとって存在の証明となる作品だろう。
淡々と流れる小川(又はその土手)のような佇まいの家族の姿
「ミナリ」とは韓国のセリ(水辺の野草)のこと。 タイトル「ミナリ」は、アメリカの田舎に新天地を求めて移り住む「家族」のメタファー?
そして、映画のストーリーは、まさに「水」が紡いでいきます。
田舎の中のさらに田舎に(「土」がいい土地を探し)移り住んで来る韓国人家族。(仕事はヒヨコの雄雌鑑別選り分け/舞台となった時代、韓国人が就ける下働きな仕事のひとつだったのか?)。
裕福ではない、でも貧しさに潰されていない4人家族の移ろいを描いていきます。
4人一家、一人ひとりの眼差しは、必見です!
父が井戸を掘る適地を小さな息子に問う「水はどこに集まる?」
移り住んだ家は雨漏りするトレーラーハウス。
不安に駆られた母は、唯一の肉親である母(おばあちゃん)を呼び寄せたことから、話が膨らみ、展開していきます。
曲者のおばあちゃんは、一家が住むトレーラーハウスからち離れたところにある小川を見つけて、韓国から持ってきた「ミナリの種」を蒔く。〈韓国人にとって「ミナリ」は、薬味であり、万能野菜であり、香料、体調安定の源!〉
野菜づくりのため井戸を掘るが、なかなか水は出てこない。野菜づくりもうまくいきません。
井戸掘りで疲れきった夫の頭を洗う妻。夫は頭をうなだれて、石けんを洗い流す水の中で、涙する。このシーンは、意味深く、圧巻。
場面場面、一家4人の、一人ひとりの表情、眼差し、素振り
素晴らしい!!です。
不便で、病気持ちの子育てに不安が募る妻は、都会に戻ることを心に決めるが、
息子の心臓の具合は、好転していた!(定期診察した医者は、その理由は「水」がいいからと)・・・移民の生活は、こんなふうに翻弄されたのだろう。これは、私たちの日常も同じか。
と、映画は進んでいきます。
が、作品は重くないです。
映像も暗くないです。
カットカットの映像が、印象的で、美しく、希望が膨らみます!
製作予算が限られた中でも、いい映画は、生まれる!
監督に、拍手👏です!
また一つ、韓国映画が名作を世に放ちました。
家族も個人の集まりだから。
何故、韓国人なのか?
説教くさいはない、映像もよい、ただ退屈
ソフトなキムチ
退屈
駄作ではないんでしょうが・・・
なぜこれがアカデミー候補に?
韓国系の作品はタイトルが秀逸
【すべてのおばあちゃんに捧ぐ】
あの水源を見つける方法は、ダウジングだ。
日本では、L字型の針金のロッドを使ったりすると思う。
解き明かされてはいないが、昔から語り継がれる先人の知恵だ。
(以下ネタバレ)
僕は、エンドロールで流れる
「すべてのおばあちゃんに捧ぐ」
が、なんか重要なメッセージのような気がしてならない。
おそらく祖国では、
父や母に従い、
結婚しては、
夫に従い、
そして、移民として見ず知らずのアメリカにやって来て、
子供に従い、
子供を励まし、
孫を励まし、
家族を照らし、
時には日陰となり、
家族を結び付け、
挫けず、
逞しく、
祈り、
皆を導き、
それに、もしかしたら、奇跡も起こしていて。
この作品のおばあちゃんほどじゃなくても、多くのおばあちゃんは、雑草のように、そう、ミナリ(セリ)のように、強く生きてきたのだ。
祖母を思い出す。
多くの人に届くメッセージがあるのではないかと思う。
早く日本/日本人を題材にA24で映画撮ってくれ〜
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80年代、農業で成功することを夢見てアメリカに来た韓国人一家の話。
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まず80年代は、『ワンダーウーマン1984』でちょっと勉強したんだけど、「アメリカをもう一度偉大に」と歌ったレーガン政権の時代で、アメリカンドリームを信じてバンバンお金を使ったアメリカのバブル期。今のトランプ政権(もう元だね)と似てる保守的な時代。
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『ワンダーウーマン1984』のマックスが息子に成功した自分を見せたい余り、どんどんダークサイドにハマっていくように、この『ミナリ』のお父さんも成功するために頑張っているけど、、という感じ。
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冒頭、役に立たないオスは処分されると息子に教えるお父さんは、「男らしさ」「男としての役割」に取りつかれた父親。自分の仕事が安定している時はついてこいと家族に言えるのに、状況が悪くなった途端に嫌なら出てっても良いという。まさに男のエゴだよなぁ。別にどんな時でも一緒にいてくれって言えば良いのに。
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その反面、おばあちゃんなのにおばあちゃんらしい素振りをしない『ミナリ』のおばあちゃんは、この家族の中でおばあちゃんとしての役割を演じていない存在。時に孫の良き友であり、時にとんでもない迷惑をかけてしまうお年寄りでもあり、時に愛情深く家族を包み込むおばあちゃんでもある。
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お年寄りという古い価値観的な存在なのに、そういう位置におばあちゃんを置いているのがすごい良い映画だなと思った。
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公式ではミナリの意味は、「2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きる」と書いてあったけど、私は、何に入れても美味しいミナリは、家族のそれぞれが父親みたいだったり友達みたいだったり役割に囚われなくても良いことを象徴してるのかなと。ヘビの出る危険な場所に植えないといけないのも、時に家族は迷惑をかけるものだということにかかってる気もする。
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穏やかな川の流れを眺めているような映画
人生を切り拓こうともがく家族の物語
1980年代のアメリカの片田舎を舞台に、美しく手付かずの自然と共に奮闘し、悩み、それぞれのかたちで家族を想う姿を丁寧に映しています。
本作は、自分の夢のためにガムシャラに己を貫く夫と、現実を見て手堅く生きてほしい妻の夫婦の物語であり、口が悪くてちょっと風変わりなおばあちゃんと、体が弱いけど男の子な孫の、不思議な触れ合いの物語でもあります。
人と人との交流、交わされる会話一つ一つに意味を持たせ、時代背景や心情を伝えるのが見事で、会話量が多くなくても情報量は多く、一場面で様々な感情を抱きました。
中でも、おばあちゃんの存在が印象的で、前半の破天荒で、でも憎めなくて、実は良い影響もたくさん与えていたりする感じが本作の癒しでした。なので、終盤は辛かった…。
正直、物語の展開は辛くてもどかしくて、救いが欲しいと思ってしまいましたが、それでも強く前を向く家族が、ミナリのように逞しく生きているのだと信じたいです。
アメリカのカントリー映画韓国版
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