「オスのヒヨコは黒い煙になる」ミナリ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
オスのヒヨコは黒い煙になる
アメリカンドリームに賭けた韓国人一家の話
プランBとA24が関わってるとなると期待値がすごく上がる。
さらにゴールデングローブ賞も取ってるようでかなり見る前からハードルが上がってしまったが、期待通りのいい作品でした。
聖書からの引用を思わせる出来事や人物が多々出てくるけれども、まったく知識がないのでわからなかった。
でもそんなメッセージ抜きにしても、家族の絆がどれだけ深く、人間はどれだけたくましいかが伝わってきた。
映画を見てる途中にふと浮かんだ疑問
この映画の主人公は誰だろう?
父親か母親か姉弟、一家全体?
冒頭は母の運転を見つめる息子の後ろ姿から始まるから息子視点の映画なのかも知れない。
父のシーンが多めだけれど、あまり深堀されないし息子の知っている父の情報と観客が見ている情報がほぼ同じなので息子視点で見ればいいのかな。
なんて普段は誰視点で映画見ようとか考えたことないのだが、なぜか考えてしまった。
息子視点で見ていくと、父の立派な姿、祖母の異物感、夫婦喧嘩の恐怖、自分も経験した諸問題を色々思いだした。
父親役のスティーブン・ユァンは「納屋を焼く」以来の小屋焼きシーンがあり不思議な縁を感じましたね。
「納屋を焼く」も名作なので見てない人は是非。
離婚寸前からのラストの展開は普通に考えたら、妻が夫の支えになるための残ったと見れますが、私的には母の不始末の負い目を感じて残ったのかなと思いました。
夫婦って綺麗ごとだけじゃなくて世間体とか負い目とか色々なシガラミで繋がってたりするし・・・
試練の多い物語でしたが家族愛と希望のもてる厳しくも優しい作品でした。
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劇中セリフより
「タダの物に金を払うな」
知恵は盗めない財産。
知らなければ料金を払い、教えれば利益を生む。