「早く日本/日本人を題材にA24で映画撮ってくれ〜」ミナリ せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
早く日本/日本人を題材にA24で映画撮ってくれ〜
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80年代、農業で成功することを夢見てアメリカに来た韓国人一家の話。
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まず80年代は、『ワンダーウーマン1984』でちょっと勉強したんだけど、「アメリカをもう一度偉大に」と歌ったレーガン政権の時代で、アメリカンドリームを信じてバンバンお金を使ったアメリカのバブル期。今のトランプ政権(もう元だね)と似てる保守的な時代。
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『ワンダーウーマン1984』のマックスが息子に成功した自分を見せたい余り、どんどんダークサイドにハマっていくように、この『ミナリ』のお父さんも成功するために頑張っているけど、、という感じ。
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冒頭、役に立たないオスは処分されると息子に教えるお父さんは、「男らしさ」「男としての役割」に取りつかれた父親。自分の仕事が安定している時はついてこいと家族に言えるのに、状況が悪くなった途端に嫌なら出てっても良いという。まさに男のエゴだよなぁ。別にどんな時でも一緒にいてくれって言えば良いのに。
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その反面、おばあちゃんなのにおばあちゃんらしい素振りをしない『ミナリ』のおばあちゃんは、この家族の中でおばあちゃんとしての役割を演じていない存在。時に孫の良き友であり、時にとんでもない迷惑をかけてしまうお年寄りでもあり、時に愛情深く家族を包み込むおばあちゃんでもある。
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お年寄りという古い価値観的な存在なのに、そういう位置におばあちゃんを置いているのがすごい良い映画だなと思った。
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公式ではミナリの意味は、「2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きる」と書いてあったけど、私は、何に入れても美味しいミナリは、家族のそれぞれが父親みたいだったり友達みたいだったり役割に囚われなくても良いことを象徴してるのかなと。ヘビの出る危険な場所に植えないといけないのも、時に家族は迷惑をかけるものだということにかかってる気もする。
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