「斬新な語り部と寡黙な主人公」テスラ エジソンが恐れた天才 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新な語り部と寡黙な主人公
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ほぼ史実にそった伝記ものなのだがテスラと交際のあったJPモルガンの娘アン役のイブ・ヒューソンが語り部となって時には現代のインターネット情報まで披露しながら物語は淡々と進んでゆくという斬新なモキュメント映画でした。
ただ内容的には前年公開の「エジソンズゲーム」を観たこともありなぞっているようにも思われた。特に電流戦争のいきさつでまたしても動物実験や電気椅子が出てくるのでうんざり、確かに欠かせぬエピソードではあるが技術的な才能と人格は別物、時として凡人より質が悪いと思わざるを得ません。
テスラはエジソンよりましかと思いましたが兵器利用までぶち上げて資金を募る様は情けない。テスラはカルト雑誌では粒子破壊兵器や人工地震研究まで登場するから見方によってはマッドサイエンティストとも捉えられかねない、だから妙なカルト人気があるという人もいる。
ノーベルやオッペンハイマーは殺戮の道具に自身の研究が使われたことに忸怩たる思いを抱いていましたがテスラはどうだったのでしょうかね。
移民ということもあったのでしょうが人付き合いが苦手、潔癖症は子供の頃のコレラのせいでしょうが真珠嫌いは謎?、生涯独身でホテルで孤独死に至った悲運の天才、私生活については、もう少し深堀りして欲しかった気もしますがエジソンほど記録や資料が残っていない人なのでつかみどころのない人物描写は致し方ないのかも知れませんね、斬新な語り部手法は苦肉の策かも。
映画としては妙に重々しく芝居がかったセリフ回しの演出で舞台劇を観ているような印象、時代のせいもあるのだろうが暗い室内が多く、断片的なエピーソードの羅列なので正直、退屈の部類でした。
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