劇場公開日 2021年3月26日

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「変化球の演出は賛否あるだろうが、悲運の天才の後半生を伝える意欲作」テスラ エジソンが恐れた天才 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5変化球の演出は賛否あるだろうが、悲運の天才の後半生を伝える意欲作

2021年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

昨年6月公開の「エジソンズ・ゲーム」から1年たたずして、またもテスラとエジソンによる交流VS直流の“電流戦争”を扱った映画が封切られた。先行作はエジソンの人生を軸に、そして本作はもちろんテスラを軸に描いているので、両方を観ると当時の出来事がより立体的に把握できる。

監督・脚本のマイケル・アルメレイダは、テスラの人生を劇映画化するにあたり、当時を忠実に再現する正攻法の伝記ドラマにはせず、テスラ役のイーサン・ホークに当時の写真を写しただけのスクリーンの前で舞台劇のように演じさせたり、テスラ死去から40年も後のヒット曲(ティアーズ・フォー・フィアーズの「ルール・ザ・ワールド」)を歌わせたりと、変化球の演出を随所に組み込んでいる。テスラの実験精神の継承、夢想家の実現しなかったビジョンといった解釈もできようが、限られた予算でアート感を出す苦肉の策のようでもあり、評価は分かれるだろう。

テスラがあの世から現代を見ることができたなら、かの天才を敬愛する起業家イーロン・マスクがテスラの名を冠した電気自動車を世界中に走らせ、別の会社で宇宙ロケットを飛ばし、衛星インターネットで地上にあまねく通信ネットワークをつなげ、世界一の資産家になったことに複雑な思いでいるはずだ。電気工学分野でエジソンをもしのぐ発明の才があったテスラが、もしビジネス面で忠実に支えるパートナーと出会っていたら、さらに多くの優れた新技術を実現できていただろうにと、本作を観て思わずにはいられない。

高森 郁哉
アカンベー👅さんのコメント
2021年3月30日

評論家?滅法、玄人だな

アカンベー👅