劇場公開日 2021年8月27日

  • 予告編を見る

「ナチスのホロコーストをめぐる、ノルウェーに実在した家族の物語」ホロコーストの罪人 caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ナチスのホロコーストをめぐる、ノルウェーに実在した家族の物語

2021年8月29日
Androidアプリから投稿

これは、ナチスのホロコーストをめぐる、ノルウェーのユダヤ人一家ブラウデ家の物語だ。
プロボクサーであるチャールズは、美しい娘ラグンヒルと結婚し、幸せな時を過ごす。
しかし、その幸せもつかの間、ナチスドイツのノルウェー侵攻が始まる。
ノルウェーを占領したナチスは、ユダヤ人に対し、調査票の提出を求め、身分証に“J”の字の赤いスタンプを押し、ユダヤ人のリストを作成していく。
ある日、チャールズは父親と二人の男兄弟とともに逮捕され、ノルウェー国内のベルグ強制収容所へ送られる。
そこでは、厳しい強制労働を課されるが、チャールズは家族の絆で毎日を乗り越えていく。
しかし、ついにノルウェー国内にいる、すべてのユダヤ人を港に集め、ドイツ行きのドナウ号に乗せるよう、命令が下される。
ベルグ強制収容所で、一人ずつ名前が読み上げられるが、なぜか、チャールズと数人だけが、収容所に残るよう命じられ、家族は引き裂かれていく。
チャールズやその家族、そして、ノルウェー国内のユダヤ人をベルグ強制収容所へ送り、港へ送り、アウシュビッツへ送ったのは、ノルウェー人だ。
ナチスが命令したことではあるが、直接手を下し、ナチスに加担したのは、まぎれもなくノルウェーの警察だ。
事実は風化していくかもしれないが、ナチスの教訓は絶対に忘れてはならない。
現在も、隣国で数多くの虐殺が行われている。世界中の民主主義国家の力で、これを阻止しなければならない。
日本も他人事ではない日が来るかもしれない。それを肝に命じなければならないだろう。

caduceus