「過去の汚点を堂々と映画化できる土壌」ホロコーストの罪人 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
過去の汚点を堂々と映画化できる土壌
第二次大戦時にノルウェーで行われたユダヤ人の強制連行に、ノルウェー人が加担していたという罪を真正面から捉えているが、スクリーンに映し出されるのはユダヤ人への止めどない悲劇。
7~8月にかけてナチス・ホロコーストが題材の映画が数本公開されるが、本作が一番救いがなく、観終わって一番気分が落ち込んだ。いや、救いはあるにはあるけど、重苦しさがそれを呑み込んでしまっている。
過去の自国の汚点を描く映画なんて、金を払ってまで観ようとはなかなか思いにくい。だから映画会社としても収益は見込めないから、あまり作りたくないというのが本音だろう。にもかかわらず知るべき過去として映画化するという土壌が備わっているのは、純粋に凄いと思う。情けない事に我が日本映画界にはその土壌はない。ジョニー・デップの『MINAMATA』みたいな映画だって、本来ならこの国で作るべきテーマなのに…
あまりにも辛い内容なので日本でもヒットは厳しかろうけど、それでも本作を買い付けて公開に踏み切った配給会社さんに敬意を表したい。
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