「ボルボに乗って苺フェア」劇場版 殺意の道程 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
ボルボに乗って苺フェア
従弟と一緒に完全犯罪をする話
バカリズム映画初体験です
予告詐欺映画ですね、いい意味で。
シリアスな作品かと思いきや異色コメディで最初は困惑しました。
冒頭からナレーションが多めなので、全部セリフとかで説明しちゃう系の映画なのかなと思いましたが、バカリズムが出てきてトイレに行くあたりからこの映画のやりたい事がわかってきます。
復讐劇なので暗い雰囲気かと思いきや。計画を立てる会議を自分の部屋でしたくないから、ファミレスや知り合いのオフィス借りたりする、第三者に計画を話すなどもう色々ずさんなんです。
挙句は犯行方法をキャバ嬢に相談して仲良くなっちゃう。
爆笑とまではいかないものの何度もクスクス笑いましたね。こんなコメディ見たことなかった。
発想力と物の見方とかほんとにすごいと思った。よく思いつくなぁ。
ここ面白いでしょ?笑うところですよって感じの押し付けられるような笑いではなく。
いやいやいや、そうはならないでしょっとか、復讐に燃えながらも欲望に忠実だったりして、真剣なのにバカバカしさが両立していて楽しい面白い。
伏線回収も上手、綺麗にまとめたと言うよりはちょっとご都合もあるけれど、そこがまた肩ひじ張ってない感じでよかったと思う。
場面が変わるごとに無駄のない笑いを挟んでくるのも上手い。
作戦会議、キャバクラ、カラオケ、張り込みの菓子パン、覗き、占い、どのシーンもそれぞれに笑える。
物語に一本の筋は通ってるけどシーンごと単体でも十分面白い、さすがとしか言いようがない脚本です。
井浦新は普段クールなキャラクターばかり演じているイメージだけれど、これはそのイメージを逆手にとっていて行動がいちいち面白い。見栄っ張りだし下心丸出しだし。
心の声も最初はくどいかなと思いましたが、慣れるにつれて心地よくなってくる。
バカリズムの演技は最初、かなり違和感あがありました。
お笑いやってる時と同じ感じなので役者向いてないなーなんて思ってたんですが、途中で彼はこれでいいのだと気がついた。
この作品は壮大なコントなわけで、コントに役者バカリズムは要らないのです。コメディアンのバカリズムが必要。
そもそも彼の芸風は変幻自在のキャラクターで如何なるシチュエーションも現実味を帯びさせる、演技というより雰囲気を作る力の凄まじいさだと思う。
そう言った点で本作はまさにバカリズムワールド全開の物語です。それっぽい雰囲気がありつつ作り話の心地よさがある。
鑑賞中にふと、この作品が海外に出たらどんな評価をされるだろうかと考えてしまった。
普段こんなことは考えたことが無いのだけれど、この作品の笑いって理解されるのかな、雰囲気伝わるだろうか、なんて事が頭をよぎった。いらない心配なのだけれど・・・
海外のコメディ映画で楽しいものは沢山ある。でも海外に通用する邦画コメディってあるのかな?自分は知らないので知ってたら教えてほしいです。
なにが言いたいかと言うと「殺意の道程」の外国人の反応が知りたいってことです。
個人的な感覚ですが海外の人でも共感できる普遍的な笑いの概念がこの作品に宿ってると感じた。
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劇中セリフより
「明日は俺、無敵状態だし」
忙しい時は猫の手も借りたいと言うけれど、不安な時はなんでもいいから後押ししてもらいたいものですよね。
無敵の日が欲しいものです。