劇場公開日 2021年1月29日

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「何から何まで不条理だ。決して何かを口にしながら観る映画ではない。それは明らかだ。」プラットフォーム 野球十兵衛さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0何から何まで不条理だ。決して何かを口にしながら観る映画ではない。それは明らかだ。

2022年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

謎のタワー?に何故か?閉じ込められた人々の物語。
物語は縦方向の移動限定のタワーでのお話に終始するの。
各階層には、ふたりづつが閉じこめられているようで。
キューブに着想をえたこと、それは明らかだ。
どうやらこの部屋に入る過程には、各々が抱える、とある事情を解決したいがための理由があるみたいなの。
主人公ゴレンは何だったけな?何かの認定証を欲しいと願ってタワー?に入ることを望んだようだったと記憶しているです。
何故か?食料だけは上の階層から順番に落とされてくる“プラットフォーム”に載せられた食料のみが与えられて。
上の階層がら順々に降りてくるものだから、下に降りるごとに残飯指数が跳ね上がっていくわけですよ。
しかも、ひと月経てば自分の意思とは無関係に、気が付いたら別の階層に飛ばされているという不条理の極み。
上に行ければラッキー、どん底に堕ちれば地獄みたいな。
部屋には水道も髭剃り用のカミソリもベッドもシーツもあるんですが。
他に部屋にある時は、自分が希望して選んだたひとつの物だけで。
主人公ゴレンの選んだ物はドン・キホーテの物語の本。(なんでやねんw)
ただひとつのトラップを除けば、他には何もないんですが。
中にいるかぎり、ずっと残飯を貪り喰わなければならないという生理的にめっちゃ厳しい拷問。
残飯を食べること以外には何することがないという、ウェットで陰惨な拷問。
これがまた、きっつい絵面だのなんの。思わず「おぇぇぇ~っ!」って吐きそうになるの。
与えられた食べ物を余分に取り残すと、部屋がオーブンのように熱くなったり、冷凍庫のように寒くなったりするくらいが部屋のトラップで。
下層では飯粒の欠片にさえもありつけない訳ですよ。
(ここまではまだまだ序章に過ぎなかったのですね…このあと、トンデモなえげつない展開になるです)
生き残るために食人すら選択せねばならぬ惨たらしい現実がきたもんだから、さぁ大変!
実際ね、人肉を食んでいるシーンもあるの
((((。ィ゚Д゚))))ガクガクブルブル
しかもね、手に握られた人肉にはボカシの処理が入っている分、余計に恐ろしい絵なの!
「人喰ってますけど、何か?」みたいにしれっと食べてるのよ!人肉をだよ!
((((。ィ゚Д゚))))ガクガクブルブル
もうヤだよ!この映画!そうでなくても今、気分がめっちゃ滅入っている時なのに!
なんちゅう鬱系映画をチョイスしてしもたんや!なんちゅう!
これ『アシュラ』観てるんじゃないですよね?
人肉を食むをことを頑なに拒んでいたゴレンも、やがて蛆の湧いた腐肉を千切っては口に運ぶようになってしまったのは、めっちゃキツイ!(ここ、現実なのか幻覚なのか、定かではいようなのですが)
てか、物語の半分は、厳しい現実とも幻覚ともとれない不条理な展開なのね。
とにかく訳わからんのです。
最初の階層一緒だった老人が(とっくに殺されています)終始狂言回しのように意味ありげな言葉をゴレンに語りかけてくるです。(現実?幻覚?)
で、様々なキャラクターが登場してはフェードアウト(死んで)ゆくわけです。
何かの啓示?を感じたゴレンともう一人の黒人男性は、最上階に行くための手がかりを得るために、最下層目指してプラットフォームに載って降りていくのですね。
最下層には何と!…衝撃の展開に!この先あと少しを書かないのは、「書かない」のではなく「書けないから」なんですね。
イミフすぎて。最下層に向かっての旅は宗教的色合いも帯びているように思えて。
そこで終わり。
何の説明も、何の救いもないまま物語は終わるです。
ここもキューブに似ているのは明らかだ。
こういう不条理系の映画は大好きなんですが、今作は“食べる”という非常にウエットな要素が加わるので、生理的にかなり厳しい作品でした。
神経を逆なでするような、不気味で怖い音楽も加わってです。
気持ちが滅入っている時には観るべきじゃないです。
あと、食事しながらは、もっての外!
それ以前にお行儀が悪いのは、明らかだ。
そして、やはりエスカルゴは食べず嫌いです。

野球十兵衛、