劇場公開日 2021年8月27日

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「エメリッヒに見せたい、ディザスター×ミリタリーアクションの快作」白頭山(ペクトゥサン)大噴火 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エメリッヒに見せたい、ディザスター×ミリタリーアクションの快作

2021年8月31日
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冒頭の白頭山噴火と大地震でソウルの高層ビル群が倒壊し地面が割れたり、数十メートルもの高さの津波が吊り橋を直撃したりといったディザスター映像は、たとえばローランド・エメリッヒ監督の「2012」などを思い出させる。だがエメリッヒ作品では大災害や爆発・破壊のシーンが続きすぎるせいで刺激に慣れてしまい、次第にハラハラドキドキしなくなるという難点もあるのだが、その点本作は先述のような災害の場面と、韓国軍の爆発物処理エキスパート役のハ・ジョンウと北朝鮮の工作員役のイ・ビョンホンという2大スターが牽引するサスペンスアクションドラマのパートをほどよいバランスで配置し、最後まで飽きさせずに楽しませてくれる充実のエンターテイメントとなった。

本作の共同監督にクレジットされているのは、脚本で数々の賞を受賞し演出力にも定評のあるイ・ヘジュンと、撮影監督としてCGも駆使したスペクタクル満載の作品を多数手がけてきたキム・ビョンソ。脚本と演出の両面で、2人がそれぞれの持ち味を出し合いアイデアを磨いていくコラボレーションがうまくいったのだろう。筋をざっくり言えば、大切な誰かのために献身する者たちが結局は世界を救うという話で、これもまたディザスタージャンルの定番なのだが、だからこそ共感を得やすいという利点もある。

3人目のスターであるマ・ドンソクが米国籍の地質学者役で出演している。韓国語で話しかけられて分からないふりをしようと英語で返答するもののあっさりバレてしまうシーンなどでユーモラスな一面も見せるものの、やはり彼の重量級のアクションがないのは残念。ビョンホン、ジョンウ、ドンソクの三つ巴の格闘が見られたら最高だったのに。

高森 郁哉