劇場公開日 2021年8月27日

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「タイトルがイマイチ日本人にはピンと来ないのが勿体ない、豪華俳優陣も魅力で本格的なディザスタームービー!」白頭山(ペクトゥサン)大噴火 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タイトルがイマイチ日本人にはピンと来ないのが勿体ない、豪華俳優陣も魅力で本格的なディザスタームービー!

2021年8月27日
PCから投稿

まず、タイトルの白頭山というのは、日本の富士山のように活火山です。
つまり、大まかなイメージは「富士山大噴火」という感じでしょうか。
ただ、現実の「白頭山の大噴火」というのは、かなりシャレにならない状況なのです。
それは、北朝鮮と中国の国境付近に位置し、朝鮮半島は狭く、甚大な被害が出てしまうためです。
ちなみに、この「白頭山の噴火」は過去4回記録されていて、小噴火は100年に1度、大噴火は1000年に1度程度となっています。(1925年の「小噴火」が現時点の最後の観測)
本作は、観測史上最大の「白頭山の大噴火」が現在に起きて、白頭山からは距離のあるソウルでさえマグニチュード7.8の大地震が直撃し、朝鮮半島が壊滅的な危機に見舞われる、という設定です。
そのため、座して死を待つのではなく、これから連鎖的に起こる「白頭山の大噴火」で何とか最後の噴火を阻止することにより最悪の事態を回避しようという「極秘ミッション」が行われるのです。
ただ、その「極秘ミッション」は❝ミッション・インポッシブル級❞で、北朝鮮にある核弾頭から「核」を盗んで、「核爆発」によって「白頭山の下にある大きなマグマの圧力を抜き、大噴火を阻止する」といったもの。

最初に「北朝鮮の核廃棄」が実際になされる、というニュースが流れます。
そして、北朝鮮の「核弾頭」が搭載されたICBM(大陸間弾道ミサイル)をアメリカが回収する、という流れとなります。
まさに、このタイミングであれば、韓国は「核」を(北朝鮮がアメリカに渡す前に盗むことで)入手でき、「核爆発によるミッションを達成できる」という状態になるのです。
ただ、これは同時に、韓国は北朝鮮を敵に回しますし、中国の国境付近で核爆発をさせるので大国・中国の怒りも凄まじいことになりますし、何より北朝鮮の非核化を進めてきたアメリカの逆鱗に触れることにもなるわけです。
つまり、本作は、韓国、北朝鮮、中国、アメリカという4か国の登場で、頭を整理して見る必要があるのです。
しかも「北朝鮮の工作員」のイ・ビョンホンは2重スパイなどの可能性もあり、得体の知れない存在です。
この辺りの設定を踏まえておくと、迫力があり、友情・家族愛などもある非常に出来の良いディザスタームービーとして楽しめると思います。
ちなみに❝戦わないマ・ドンソク❞は珍しいですが、存在感があり、これもアリでした。

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細野真宏