「【”思想は違う同民族の父2人、自らの子を守る為に奮闘す。”前半コミカル要素を交えながら、怒涛のクライマックスは父親二人の友情が沁みる作品。韓国映画の凄さを改めて認識した作品でもある。】」白頭山(ペクトゥサン)大噴火 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”思想は違う同民族の父2人、自らの子を守る為に奮闘す。”前半コミカル要素を交えながら、怒涛のクライマックスは父親二人の友情が沁みる作品。韓国映画の凄さを改めて認識した作品でもある。】
ー 作品の設定が絶妙である。
中国と北朝鮮の国境に聳える旧火山、白頭山の大噴火。
朝鮮半島、大混乱。南北国家の抗争どころではない。
冒頭のディザスターシーンは、迫力がある。
そして、当然介入してくる、アメリカと中国の特殊部隊・・。ー
◆感想
・序盤は、兵役が残り一日の爆発物処理担当のチョ大尉(ハ・ジョンユ)が、妻”キューティ・プチ”(軽く脱力・・、だが、この映画では、ここをかなーり、引っ張る・・。)の出産間近を控えて、ソワソワする姿がコミカルに描かれる。
ー チョ大尉が、妻からよく言われる”遅刻は駄目!”。
このフレーズも、緊迫感が尋常ではない後半に効いてくる。ー
・白頭山の大噴火を止めるために、カン教授(マ・ドンソク:黄金の右フックを今作では封印。)は、兼ねてからの自説 ー白頭山は噴火する・・ー を否定し続けられて、米国に帰国する予定だったが、韓国大統領の命を受けた青瓦台のユギョン(チョン・ヘジン:「名もなき野良犬の輪舞」の非情なチーム長が印象的。「詩人の恋」のキツイ奥さんも・・。)から請われ、巨大なマグマ溜まりを、北朝鮮の核ミサイルの弾頭を使って破壊する案を提示する。
ー ここも、設定が巧い。北朝鮮の忌むべき核ミサイルを、朝鮮半島を救うために使うというアイディア。ー
・そのために、解放された北朝鮮の最強のスパイ、リ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)。そして、重大なミッションを与えられたチョ大尉。
ー 久しぶりの
”俺様は誰?ハイ、イ・ビョンホン様でございます・・。”
の、オラオラ、イ・ビョンホンである。このスーパースターは、どの様な役も見事にこなすが、今作も抜群である。少しだけ、”ハ・ジョンユ、大丈夫か?”と思う。
だが、この二人の”死へのロードムービーシーン”が凄く良いのである。気を失っていたチョ大尉に”クチプチうるせえぞ!(キューティ・プチと言っている・・・・。)”と罵ったり、”後頭部に目が無い理由が分かるか!”を連発するリ・ジュンピョン。
二人で、主導権の奪い合いをしながら、徐々に友情が芽生えていくのである。”後頭部に・・”を矢鱈に言うなあ、と思っていたら・・。ー
◇物凄く沁みたシーン
・リ・ジュンピョンが、久しぶりに”言葉を失ってしまった”娘スノクと会うシーン。
・娘を中国へ逃がそうと思ったが・・、チョ大尉と、娘を助けるために腹に銃弾を受けながらも、リが同行を決意するシーン。
・ドッカンドッカン、火山弾が飛んでくる中、二人はオンボロタクシーに核弾頭と、起動装置を載せて、白頭山の坑道へ・・。そこで、リ・ジュンピョンが、”後頭部に・・”と言った後に言った言葉。
”俺は、良い父親ではなかった。お前は、戻って父親になれ・・。お前は信頼できる。スノクを頼む・・。”
ー イ・ビョンホン、格好良すぎます・・。ー
<作戦が成功し、父親になったチョ大尉が妻”キューティ・プチ”と幼子と囲む食卓。そこにはもう一膳の箸が・・。口が利けるようになり、軽口をたたくスノクの姿。
4人で囲む幸せな食卓。
韓国映画の凄さを今更ながらに感じた作品である。>