「そんなヒーローに騙されて」コンフィデンスマンJP 英雄編 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
そんなヒーローに騙されて
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人をだますことは基本的には良くないことなので、詐欺師が主人公の物語は、だいたい巨悪に挑んで金を奪い取るというような設定が多い。この映画も結果としてそういうセオリーに則っているように見えるが、本当にだまそうとしている対象は映画館の善意の観客である。
終盤ほとんどの登場人物が偽者だと判明すると、物語の中の“だまし”の大半はダー子劇団の団員たちによる茶番になってしまう。全体の仕組みがわかっていない少数の人物に向けた演技は是とするが、それ以外は観客だけを対象としたミスディレクションだ。
さらに言えば、ゴーゴリの「検察官」の時代ならいざ知らず、現代なら公的な身分はちょっと調べればたちどころに露見するはずだと思うのだが。設計図しか知らないはずの隠し部屋の再現や、宿敵赤星の唐突な連携など、腑に落ちない点も多々あり。
TVサイズの演出なのか、やたらどアップの連打も気になった。
「コンフィデンスマンJP」のコンセプトは心から愛して止まないので、海外を舞台にして見た目だけの豪華さを求めたりせず、もっと緻密なコンゲームの脚本を期待したいものです。
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