「美女と野獣はミスリード?」竜とそばかすの姫 iNazumaさんの映画レビュー(感想・評価)
美女と野獣はミスリード?
上映二日目に映画館で視聴してきました。
CMや、宣伝、ポスターに至るまで押される美女と野獣。視聴後の感想としましては美女と野獣的ボーイミーツガールよりトラウマや重要感に焦点が当てられているように感じました。
細田監督前作、前々作の酷評で相当ダメージ受けたんでしょうね…。
題材での重要感につきましては。
序盤に出てくるYahoo!ニュースのコメント欄並みの母に対する酷評で人と違うことを言う自分カッコいいと言う自己の重要感。Uの治安維持を行う重要感。竜として疑われる人の背景を詮索し自分を優秀だと示す重要感。竜の知り合いだと嘘をつき事情通だと示す重要感。スクールカーストの弱者側にいないことを示す重要感。主人公やキッズの多数派に嫌われている存在を救いたいと思う重要感。
その身勝手な重要感の先にいる他人の気持ちを本当に理解していますか?と投げかけられる序盤と中盤。
終盤、主人公は周囲の人の力添えにより他人と自己の重要感に見切りをつけ、トラウマを克服し人間として成長します。
両作品の対比としまして、美女と野獣のベルは元々人を見た目で判断せずその公平さと聡明さにより人を救済します。竜そばのベルは成長しトラウマを乗り越え救いを求める他者と自己を救済します。
タイトルの竜は登場人物の名ではなく、作中の要素の連想(母→川で水死→寄り神→クジラ→水神→竜)から川で亡くなった母である寄り神であることが予想されます。つまり、本作のテーマは母と主人公の確執であるトラウマ(苦)であります。ベルが歌う際に現れる音響クジラ(鯨鐘)ややけに推されているカツオのたたき(鯨付き)もこれに関する要素であります。
両作品に演出や登場人物など類似点はありましたが、ストーリーとしてはミスリードを誘う要素でした。
没入感を誘う演出や音楽を体感するためにも暗闇で大画面、大音量の映画館で視聴することをお勧めさせていただきます。