「いざ無駄を愛すのだ!」映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 HEYROさんの映画レビュー(感想・評価)
いざ無駄を愛すのだ!
かれこれしんちゃんとの付き合いも15年以上。1番笑えるアニメ・泣けるアニメを聞かれたら真っ先に「クレヨンしんちゃん」と答えるほどのしんちゃん好きです。
普段なら春公開、昨年はコロ助のせいで秋公開だったので、今年もそれくらいになるのかなと思いきやまさかの夏映画に!夏に観るしんちゃんはなんだか不思議な感じでした。
名探偵の翌週に名探偵をぶつける気でいた製作陣の肝の座り具合は最強です。
本作は風間くんの誘いで、「私立天下統一カスカベ学園」通称天カス学園に体験入学するというお話です。ここ最近の映画の中では、割と落ち着いたところが舞台になっていました。
冒頭のしんちゃんとみさえの何気ない日常からドッと笑いをとっていくあたりさすがです。ひと笑いあった後で、1週間とはいえ親元を離れるしんちゃんの事を家族全員が心配して、みさえも1週間分のぎゅーをしてくれるので、短いながらも親からの愛が伝わってきました。今作は親からの子への愛の描き方が上手いなと思いました。何気ない生活の中で当たり前の存在がいなくて寂しくなったり、6日目になるとたわしにすがってしまったりと、いつも怒られながらもしんちゃんは本当に愛されてるんだなと思い、ウルっときてしまいました。
今回はカスカベ防衛隊もいつも以上に個性豊かになっています。特にボーちゃん。今回は超早口になって、恋をしてドキドキするという普段のボーちゃんでは見られない面白さがありました。マサオくんはツッパっていました。ネネちゃんは今回まとめ役に接していました。風間くんは面白いくらい暴走していて楽しかったです。しんちゃんはお尻が覚醒するという、久しぶりにケツにフォーカスが当たっていました。
しんちゃんと風間くんのガチ喧嘩が見られるというのも中々珍しいと思います。なんやかんや仲のいい2人がブチギレ合うというのも斬新です。あとアニメではちらっと描かれていた小学校以降の進路にも触れていて、風間くんが受験の道を辿るというのも明かされました。
今作も前作と同様、明確な悪役がいないというのもひとつの特徴です。ラストはスーパーエリートになるか否かをかけてエリート風間くんと焼きそばパンを懸けたマラソンが展開されるのはいかにもしんちゃんぽいなと思いました。このマラソンでは今までに登場してきた人物が総登場してカスカベ防衛隊を手助けする胸熱展開になります。チシオちゃんの走れない理由も変顔をしてしまうという当人にとっては大問題なんですが、観客としては最高の笑いをお届けしてくれました。このシーンでもみさえとひろしは熱い言葉を伝えてくれます。ぜひ劇場で全体で感じてほしいです。
最後は引き分けで互いを讃え合って終わるというとても素晴らしいオチです。そこから主題歌「はしりがき」が流れます。主題歌もTHEクレヨンしんちゃんという感じのフレーズが盛り込まれていて最高でした。
ここ数年のクレヨンしんちゃん映画はハイレベルな作品が多いですが、今作も例に漏れず傑作でした。来年は忍者?久々に歴史ものを体験できるということで楽しみです。サイコー!
鑑賞日 7/30
鑑賞時間 13:30〜15:30
座席 H-11