バッド・ヘアーのレビュー・感想・評価
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おなごの髪型で心も変わる? この発言はところ変わればレッドカードかも?
The CROWN Act: Working to eradicate race-based
hair discrimination イギリス・ロンドンに本拠を置く世界有数の一般消費財メーカーのホームページに載っていたメッセージより ...
"クラウン(CROWN)法"––Creating a Respectful and Open World for Natural Hair(自然な頭髪を尊重し、開かれた世界をつくる)の頭文字をとったもので以前は共和党支持者が多かったけれども現在はリベラルな土地柄のカリフォルニア州だけがこの法律を制定している。
何故こんなことを載せるかって... ?
この映画を監督したのが、人種問題を織り込んだ風刺・コメディドラマ『Dear White People』を製作して有名になったジャスティン・シミエン監督の初長編映画という事。
古典映画『ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956)』やSci-Fi・ホラー映画『ステップフォードの妻たち(1975)』の影響を受け、また監督がK-ホラー好きなところから、かなりインスパイアしている韓国恐怖映画『鬘 かつら(2005)』なんてモノも挙げられる。
マイクロアグレッション(microaggression)... 自覚なき差別。異なる文化、人種、身体的能力を持つ人々や政治的文化的に疎外された集団に対して、悪意がなく意図的か否かに関わらず相手を傷つけてしまう可能性を持ち、何気ない日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下しや侮辱、否定的な態度のこと。この映画を見ていて、主人公のアンナの髪の毛がもたらす恐怖よりもどちらかというと人間という生き物の底知れないマイクロアグレッションの恐怖の方が永遠に続くように感じてしまう。その点、日本ではあまりにもタイムリーな話題なのかもしれない?
マイクロアグレッションが引き起こすとされる前出の世界有数の一般消費財メーカーの質問が以下に示されている...
Did you know …
●A Black woman is 80% more likely to change her natural hair to
meet social norms or expectations at work
●Black women are 1.5 times more likely to be sent home or know
of a Black woman sent home from the workplace because of her
hair
リベラルな大学キャンパスをドラマ『Dear White People』のプリズムの変化と同じようにスマートで風刺の効いたレンズを通して黒人のアイデンティティを見直してから6年後、キャラやプロットの大部分がテレビ形式にきちんと整えられ、映画『バッド・ヘア』も同様に社会に対する鋭い批判の目を向けている。映画製作者としてシミエン監督は、アフリカ系アメリカ人女性が美しさの狭い認識に従うことを承諾すると同時に時には自己嫌悪の代償を払わなければならない社会の常識とされるイタイ部分を掘り下げている。
同じ黒人監督のジョーダン・ピールの映画『ゲット・アウト(2017)』でも見られるジャンプスケアな恐怖を描いているようで、シミエン監督にとっては、自由奔放で不条理なコメディとの部分では一致しているのかもしれない。
魔術による髪に関する奴隷の民間伝承と、より多くの女性、特に黒人女性は、リラクサーによって髪を処理することは痛みを伴う可能性があることを知っているはずなのに... それなのにおんな心のサガなのか?
リラクサーを残す➡ 髪をまっすぐにする過酷な化学処理 ➡ 髪が抜け落ちるまで頭皮を燃やす➡測りしれない時間の経過が髪の中で悪夢という拷問そのものとなってしまう。
監督自ら曲を作り、ケリー・ローランドによるポップスターを含む思い出に残るキャラクターとPVシーンなど、フィルムスコアとしても楽しめる場面もあり、また監督は16mmフィルムで映画全体を撮影しているこだわりをも見せているが...
この映画は、恐怖映画と捉えるなら、髪の毛が悪さをするにしては、その髪自体の動きが悪すぎるし、しかも同じようなシーンの稚拙な連続パターンのようにも見えてしまう。それでは、コメディ・ホラーと呼ばれている本作品なんだけども...
コメディの要素はと考えると皮肉としかとれないし、楽しめないプロットとなっている。あまりにも中途半端な映画と言える... メッセージ性が強いわりにはのお話。
シミエン監督はインタビューに答えていた。
「映画『バッド・ヘアー』は黒人女性への非常に奇妙なラブレターであり、彼女たちが粘り強く、忍耐という比べることのできない力の表れです。それは私の風刺的なホラー・ラブレターと言えるものです。」
最初、監督は何故、1989年にこだわったのか? マリリン・モンロゥの言葉...
"I believe that everything happens for a reason. " ... 本当はこの言葉には続きがあるのだけれども... 「全てのことは、理由があって物事は起こる」
1989年は "映画はお札の輪転機" になり映画業界が大きく変わった年であり、従来のニュースとは異なり、扇情的な言葉で人々をあおるだけのニュースと娯楽の境界をぼやけさせたタブロイド番組が台頭し、それとは別にアメリカの文化と常識が変わり、"cozy" とかアットホームという言葉が消え去り、また冷戦を終結させた激動の年だからなのか?
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