「アイデア乾坤一擲」ゾンビ津波 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
アイデア乾坤一擲
大量のゾンビが津波とともに襲いかかってくる!というセンセーショナリズムただ一点に作品としてのすべてを賭けたゾンビ映画。でもまあジョージ・A・ロメロ『ゾンビ』以降のゾンビ映画はそういう「発想」の差異ゲームに巻き込まれることを予め運命づけられているものだから仕方ない。それゆえ「発想」の埒外である要素(下手な脚本や不出来な演出等々)に関して敢えて文句を並べ立てるつもりもない。
それよりは、ルチオ・フルチが『サンゲリア』においてほんの一瞬だけ示唆した「ゾンビ×海」という可能性をそのまま90分の作品にまで昇華させてしまった純粋な映画的熱意を私は評価したい。
ただやっぱりリファレンス元である『サンゲリア』での「ゾンビvsサメ」という唐突な異種間格闘技シーンがあまりにも衝撃的すぎたこともあり、今更ただ単に水耐性があるゾンビが大量に現れたところで「あ、今回はそういう設定なんすね」程度の感慨しか湧いてこなかった。ラストの電撃シーンも予算の影響からかかなり地味でシュールな出来栄えだった。とりあえず私もスタンガン内蔵のサバイバルナイフでも携帯するようにしようかな。
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