「緑のナイフ」フロッグ なつさんの映画レビュー(感想・評価)
緑のナイフ
綺麗で平和な街並みをフォーンフォーンフォーンとなんだか不穏な音を流しながら始まるこの作品。
早速、森の中を自転車で走る少年がポーンと斜めに浮かび、自転車はゆっくりと動いていく。
パンケーキを焼く母親、不機嫌な息子。それに上の空で空回りの会話の後、勝手にお金で終わらせパタパタと仕事に出かける。その距離は遠い。
そこに後ろから父親の声。彼は横に座り、顔の傷を見る。
不倫をした妻は必死にご機嫌伺うも怒りを隠せない夫。
1枚だけ抜き取られた写真。
このね、息子の顔がとても裕福な家で育ちましたよって感じがとても良い。
作品全体だけど、ぱつんぱんと視点を切り替えて行くので観ていてドキドキする。これってホラーじゃないよね?と何度も思う。
修理会社の最後の挨拶がしっかりした娘さんですね〜ってのにはゾワッとしましたよ。
ひまわりのカップ、ハム太郎の脱走、銀食器、謎のものがたくさんあるが、開始45分で視点が裏返る。
フロッギングをしていたミンディとアレックにより全ての事象が明らかになる。
決して家人の迷惑にならないと約束しながらもアレックは勝手にいたずらを始めてしまう。
その時の表情がとても恍惚としているので何かに目覚めたのか?と心配になった。
そんな彼の手には緑のペッツ。
おっと、誘拐犯の武器も緑のナイフだぜ!とゲスパー。
そして、ミンディは目撃する。
そこで初めて表と裏が1本につながる。
気絶したミンディを車に乗せ脱出を図るも彼女だけを乗せてしまい、そこで父親が誘拐犯、緑のナイフの男だと知る。謎の建物に監禁される子供たちを見つけたが捕まり、フロッギングがバレてしまう。
そしてその行為を利用されようとする。
ちょっと巧妙なんだか脇が甘いんだかわからないが、確かに人んちに勝手に住居侵入されてしまうと激おこにはなる。
対峙するアレック。その顔を見て動揺する男。
あぁ、だからアレックは執拗にこの男にばかりいたずらをしていたのか。機会を伺っていたのだろう。幼い日の復讐の為に。
過去のアレック誘拐時やその後の取り調べなどについては深掘りはされないが、安心した声で「スピッツ刑事」ともらす彼と緑のペッツ。あぁ、それヨッシーだったのね。
とんがった屋根の豪邸が何度も映る。
物言わぬ佇まいが結構怖かった。
フロッギングと言うものが実際に存在するのにびっくり。