「終末期の生き様、看取り方はこうありたいな。」けったいな町医者 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
終末期の生き様、看取り方はこうありたいな。
シネスイッチ銀座さんで「痛くない死に方」と連投鑑賞。長尾医師のそのままを観たかったのです。
ラストのナレーションの一言が胸に染み入る作品。
全てが凝縮されているのではないでしょうか?
「延命措置をしない=生を諦める」ではない。ましてや、医療の放棄でもない。
生かされるんじゃない。自らの力で生き切る事が大事なのだろうなと思いました。
そして、医師はその患者の家族や背景を把握して寄り添う。時間が許される限り。
人間の体は解明されてないことがまだまだ沢山あるんでしょう。長尾医師の理論の否定者は多くいると思います。しかし、長尾医師の実績は無視できません。
生きることは
食べること。笑うこと。歩くこと。うたうこと。
それを実践して、実践のサポートを力の限り行う、
最後の煙になるまで、灰になるまで。
強い信念とそれを具現化する行動力。きっとそれらに感化され集まったクリニック内外の医師とスタッフの患者さんと向き合う姿勢に胸打たれます。
この作品は決して延命治療やそれを求める患者を批判したり揶揄するものではありません。
長尾医師の信念の熱い宣言と、それを源泉とした医療のあり方を伝えるものです。その考え、姿勢に呼応した
方々の生に拘る物語です。
否定する人も多くいることでしょう
しかし、僕は自身の終末期はこうありたいと切に願います。親にもこうであってほしいとも。
もちろん場所柄、長尾クリニックさんにお世話になることはかないませんが、長尾医師のようなお医者さんにお世話になりたいと思いました。
なぜか?
それはエンドロール後の長尾医師の姿です。そこには生きてやると決めた人間にできる限りよりそい支援する医者の姿がありました。
延命をしないのも、薬投与をしないのも長尾さんのエゴじゃないのです。その行動を見ればわかります。
長尾さんに家族の物語を看る真髄をみました。
ドキュメントだから、こー言う言い方よくないけど、このシーンは素晴らしい。2021年、ベストシーンです。
命を尊ぶ医師の姿がそこにありました。
必見の傑作です。