海辺の金魚のレビュー・感想・評価
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【閉じ込めてきた気持ち】
虐待、犯罪。
親の暗い部分を背負いながらも、親との絆を何処かで求めてしまう。
子供であれば当たり前だろう。
寄り添う花と晴海。
花は、晴海に何を見たのだろうか。
深まる花と晴海の絆に、物語ではありがちな奇跡のような魔法はない。
2人の決してスムーズとは言えない交流を見ていると、絆は少しづつ強くなっていくものなのだと感じる。
(以下ネタバレ)
水槽の中で生きる金魚は何を表しているのだろうか。
それは、きっと、ずっと昔に、心の奥底に閉じ込めた花自身の気持ちだ。
母親への思い。
淋しさ。
泣きたい気持ち。
だが、もうすぐ施設を旅立たなくてはならない。
淡水魚の金魚は海で生きていくことは出来ない。
海に放たれた金魚は何を意味しているのだろうか。
きっと、自由や解放を意味しているのではない。
淡水魚の金魚は海で生きていくことは出来ないのだ。
花は、金魚ではない。
金魚は、きっと、花がずっと閉じ込めてきた気持ちなのだ。
花は、奥底に閉じ込めた自分自身の気持ちをお終いにしたかったのではないのか。
児童養護施設で生活する子供達をモチーフにしながら、その複雑な胸のうちを照らした秀作だと思う。
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