「是枝作品は細胞分裂を繰り返す!」海辺の金魚 caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)
是枝作品は細胞分裂を繰り返す!
ビューティフルドリーマーに主演した彼女が監督!?
しかも、是枝監督に学生時代師事していたらしい。
是枝作品は、社会の底辺や、それにまつわる不幸、犯罪にスポットを当てた作品が多い。
この作品も、虐待を受けた子供や、親が犯罪を犯した子供を保護する施設が舞台となる。
ストーリーは、親から虐待を受け、保護された晴海の施設での様子と、主人公の花と母親との回想シーンが並行して進んでいく。
施設での描写は花と晴海、そして、花とタカ兄とのやり取りが中心だ。
現在の花と母親や、晴海とその母親との間の描写はなく、ストーリーに厚みを欠く。子どもたちを流しそうめんに誘った男の子と花との親しくなるきっかけや関係性も、描き方は薄い。
しかし、低予算で、初監督作品であることを考えると、悪い出来ではないのかもしれない。
ラストシーンで花は海に金魚を放した。小川監督自身が、観賞用として退化し、海で生きられなくなった金魚を、海に返したかったらしい。
金魚は海では生きられない。この映画の結末も、金魚とともに、海の藻屑となり、波間に消えていった。
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