劇場公開日 2021年6月11日

「着眼点が素晴しい作品」キャラクター 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0着眼点が素晴しい作品

2023年2月4日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
劇場公開時は、全くノーチェックの作品でしたが、サスペンス映画として、なかなか評価が高いようでしたので、動画配信で鑑賞してみました。

【率直な感想】
<着眼点が素晴しい>
もしも、売れない漫画家が殺人犯の顔を見てしまったら?
しかも、その顔を“キャラクター”化して漫画を描いて売れてしまったとしたら?

上記は、公式ホームページの文章で、本作品の発想の原点を簡潔に表現したものです。
本作品の主人公・山城圭吾(菅田将暉)は、サスペンス漫画を目指していて、新人賞への応募や出版社への原稿持ち込みなどを行っているのですが、「絵はとてもうまい。しかし、登場人物、特に犯人のキャラクターが魅力的でない」となかなかデビューできなかった。
そんなある日、閑静な住宅街の一軒家で、一家4人が惨殺されている現場の第一発見者となってしまう。
清田俊介(小栗旬)と真壁孝太(中村獅童)の二人の刑事から事情聴取された際、彼は、実は犯人の姿を目撃していたにも関わらず、何も見ていないと証言。
そんな彼は、犯人の顔を思い出して、作品を描き上げ、売れっ子漫画家となっていくが…。
というものです。

私は長年にわたり、ミステリ小説を読み、ミステリ映画を観続けていますが、このような設定の作品は初めてでした。
物語は、主人公・山城が、どのような形で、犯人と接点を持ち始めるのかという点と、二人の刑事がどのような捜査をしていくかという点が、興味を惹くところなのですが、観客に飽きさせることのない巧みな展開となっており、高く評価できる作品に仕上がっていたと思います。

ただ、一点、物語中盤で、結末への展開が予想できてしまった部分があり、そこだけが、ちょっと残念に思いました。

<大河ドラマの共演者たち>
2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」には、菅田将暉(主人公・山城圭吾)が源義経役で、小栗旬(清田俊介刑事)が北条義時役で、中村獅童(真壁幸太刑事)が梶原景時役で出演していました。
私が感心したのは、いずれの俳優さんも演技が達者であるということです。
本作品と大河ドラマでは、演じる人物の「キャラクター」が全く違います。
俳優さんの顔つきはもちろん同じだし、声も同じ。
でも、顔の表情や、話し方は全然違う。
これが演技というものなのか、と。
優れた俳優は、自分に与えられた役柄の「キャラクター」を見事に演じているのだな、と実感させられました。

【全体評価】
思いがけない着想により構成された物語を、優れた俳優が、実力を発揮して演じきった、評価が高いのにも納得の作品でした。

悶