劇場公開日 2021年6月11日

「魅力的な要素がたくさん。構成だけ物足りず。」キャラクター ほたるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0魅力的な要素がたくさん。構成だけ物足りず。

2022年9月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

自身が主人公と同じ立場であった為、非常に入り込みやすい導入でした。
まず、物足りなかった箇所を先に書きます。
漫画家志望の苦悩は、作中に描かれていたことや清田が苦労したんでしょ?と成功後の主人公の立場を理解しようとしてかけた言葉より遥かに苦しいです。一般の人にはそのことはあまり認知されていない所で、好きなように描いていると思われがちです。なので、産みの苦しみや漫画の為に絵だけでなく話を考えるところでも常日頃「面白いものとは?魅力的なキャラとは?商業とは?自分の描きたいものとどう擦り合わせ、どう売っていく?」など苦悩しているシーンもあると、尚、一般の方にもスッと感情移入しやすかったと思います。そして、主人公にとって両角との出会いがどんなに衝撃的であったかもっとインパクトを与えられたように思いました。
尺の都合もあったとは思いますが、そのような細かな描写や、主人公と両角の接触を増やし闇に引き摺り込まれていく工程をしっかり見たかったので4つとしました。
やはり殺人描写に重点を置かれており、確かにハラハラソワソワさせて貰ったのですが、そこを半分に減らし、主人公の心の中に入ってきて主人公が恐怖するというシーンももっとあって良かったのではないかなと思いました。それがあればもっとゾワゾワし、闇に堕ちた感覚なんかも臨場感たっぷりだったかなと思います。私たちは主人公を通してリンクし物語を見ていくので、構成の上でそこだけ物足りなかったかもしれません。転換の際、急に変わりすぎな感じはありました。
良い点は、とにかくネタが良かったと思います!!売れない漫画家志望が、殺人現場に出くわしそれを機に売れっ子漫画家になるとか。殺人鬼がサイコで美しいとか。漫画がそのまま現実になっていくとか。人の興味を惹く要素がたくさんでした。犯人を絞り込んでいくキッカケも面白かった。そのネタたちの調理法もなかなかよかったですし、業界のリアルさがあって良かったです!構成が淡々とストーリー先行で進む感じがありやや物足りないのですが、ここに心情的エピソードを挟んでくれたら星5だったなぁ!と思っています。

ほたる