劇場公開日 2021年6月11日

「松田洋治がいる!」キャラクター デブリさんの映画レビュー(感想・評価)

松田洋治がいる!

2021年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フジテレビらしいスター・システムに基づく映画作りだなーとは思いつつ、菅田くんも小栗さんもちゃんと魅力的なので、それはそれでいいと思う。のそのそしゃべる菅田くんかわいい。あと、この中村獅童は好き。たびたび起きる一家殺害事件は犯行の様子を見せないので、そういうのが苦手でも目をつぶってしまうほど凄惨なシーンはない。やっぱりテレビでそのうちやるのかな。

なんで警察こんなに遅いんだろうとか、清田以外の刑事が無能すぎるとか、あれだけ辺りを見回して確認したのに一瞬後には背後にいる犯人の運動能力どうなってんのとか、そこですぐ殺さない理由がないぞとか、アイツに行方をくらませるだけの能力ないよねとか、ツッコミどころは山ほどあるけど、そこはツッコまないのがフジテレビ映画の楽しみ方というものだ。ああ、でもこれは言っておきたいけど、つけペンだと純情でデジタルだとビジネスみたいな、その表し方は私は好かないな。

あと、中尾明慶演じる編集者が漫画家に向かって「こんなに売れてる」とか「こんなに読者に支持されてる」とか、要するに“みんながいいって言ってる”以上のセリフを言わなくて、殺人鬼が怖いこと言ってるときより、よっぽどぞっとした。

それでも、なんといっても松田洋治を使ってくれてありがとう。私が松田に出会ったのは(本当に対面したみたいな言い方)スケバン刑事IIIだった。そう、原作者に嫌われていたあだ花の第3作。あれの単発ゲストで、ひょうきんで軽薄っぽいけど純粋な西荻窪在住の青年・ノボル役を好演していて、すぐ名前を覚えた。オーソドックスな演じ方の中に一つ二つ、彼しかやらないような仕草や表情が混じっていて気になるのだ。あれから30年以上。役どころも容姿も大きく変わったけど、今回の映画でもやっぱり、フィクションによくいる狂気の男のようでいて、どこかオリジナリティがあった。彼はやっぱり彼だった。

デブリ