「映画の中ではキャラクターが際立っていた」キャラクター たくぼっくすさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の中ではキャラクターが際立っていた
キャラクターが描けない漫画家と生い立ちとビジュアルはキャラ立っているけど自分が誰かわからない殺人犯の危うい組み合わせ。
この緊張感が崩れなくて観ていて心地よかった。
タイトルでもあり主人公の漫画家のコンプレックスでもある「キャラクター」はこの映画においても大事にされていて、刑事も奥さんも、部屋も作業道具も、どこか意思や個性を感じるキャラクターとして描かれていた。というのは深読みすぎるかもしれないけど主人公のキャラが描けず悩む気持ちを追いかけていたらそう感じられたのです。
よくあるサイコパス殺人物語とは違ったもう少し背骨のしっかりした人物設定とシチュエーションと役者の掛け算が大事にされた物語と感じたので星4.5。
以下は各キャラクターについての駄文です。
菅田将暉演じる漫画家山城は絵が上手いこと以外は特別勇敢でもなく男前でもなく不器用に生きなきゃいけない人物なので、大きなことが起きてもかっこよくなったり派手になったりしてはならない。
その制約を崩さずにモロズミと対面した時にだけ大きく揺さぶられている人物づくりが神業だった。
小栗旬演じる刑事の清田。これはカエルのお面の殺人鬼を追っかけていた「ミュージアム」の刑事と同一人物では…。あの映画のあの不幸な刑事小栗旬が欲しかったのかな。悪意だwでもピッタリだ。
山城の奥さん夏美。家族とか素性がわからないし大変なことが起きてもベビーカー選んでるし最も恐ろしかった…。おしゃれ家具サイコパス?ACTUSサイコパス?夫のことも家具として見ている??洗練されたリビングと陰鬱な作業場、グランジな雰囲気の夫のコントラストを家具として楽しんでる??
幸せで平凡ぽく見えるゆえ、最も奇妙なキャラクターだった。
そしてモロズミを演じるFukase。この人がただの厨二病ではないことを確かめたくてこの映画を観に来たところがある。
結果、家族と人格があるべき状態から外れているこのキャラクターを大袈裟に演じているというよりもFukase自身の別の世界線ではこうなってましたと信じられるような、ある意味背伸びせず等身大なキャラクターだと感じられる成果でした。
歌詞で言うと当て書きのような。本人も表現方法が違えばこうなっちゃったかも、という別の自分の覗いている気持ちなのでは(妄想)。
この映画で不自然なのは登場人物の顔が綺麗すぎることとACTUSサイコパスくらいで、変なわざとらしさを感じてしらけることのない、ちゃんと緊張感を維持させる役者と演出の努力とスキルを感じられて満足です。
※漢字のミスと変な日本語を一部修正