「画力の高さは最大の武器」キャラクター bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
画力の高さは最大の武器
良い役者さんは脚本の穴を塞ぐし、意図のある演出はクオリティに繋がる。
ヤッベー。おもしれぇ。と言うか。怖い。気色悪い。嫌な感じで鈍重。テンプレな展開もあるけれど、一箇所だけ「ウソ!マジか?」で裏を取られてしまいました。救世主だと期待してたのに、そこで、アイツにヤラレルなんて!
と。終わり方も不穏で好き。
まず画が堪らんです。撮影は近藤哲也さん。三角窓の方ですね。イヤ、こっちの方が全然良いです。監督は「帝一」「恋雨」の永井聡さん。コレは突き抜けた感、あります。最高。
殺害現場の描写が無いんで恐怖感のアップダウンが無いんです。ピークもボトムも無し。コレが逆に、不穏さを保持し続けてくれたりします。遺体だけは見せると言うエグい演出です。イヤらしいくらいに。
カメラの静・動の使い分けも好き。山城の心理の動揺を表現する場面では揺れるスクリーン。両角の表情をとらえる固定カメラ。ストーリーを動かす時は画角も動かす。みたいな、細かい、意図のある使い分けが好き。
まぁ、好き嫌いはあるかも知れませんが、映画として、このクオリティには大満足です。
一般人が銃を持たない日本で。刃物を持っただけでシリアルキラーが仕上がると言う恐怖です。それを「血」を使った演出だけでやってしまう訳です。
警察無能の演出は、ちょっとだけ、あれだけど。山城を撃ったのは防弾チョッキを着てると知ってたからですよね。でも、ちょっと「えええ?そんなー」ってなりました。あの場面まで、無能を晒してきてるだけにw
わざとらしいって思う展開もあるけれど、コレは好き。
良かった。とっても。
「まときみ」が無ければ年一だったのに、って言う映画でした!
「ホムンクルス」も面白かったし、「見せてあげる」もなかなかのもんでした。これも良かったです。で、言いたいことがw
「どうした邦画。苦手分野じゃなかったのかーーー?」w
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この映画のラストの何が不穏かって言うと。
辺見は捕まっておらず市中を彷徨いている。
二人の赤ん坊は姿を晒しておらず、声すら聞こえない。
包丁を研ぐ音はするけど、誰が研いでいるかは分からない。
それは生を奪われた二人の復讐を企む夏美がたてている音かも知れないよ、って事で。