「共作・狂作・狭窄」キャラクター Bacchusさんの映画レビュー(感想・評価)
共作・狂作・狭窄
マンガ家の道を諦めかけた男が一家惨殺事件に遭遇し、そこで見かけた犯人をモデルにした作品「34」(さんじゅうし)で売れっ子になり巻き起こる話。
サスペンスマンガで独立を目標にしていたけれど、良い人過ぎて悪人を上手く描けず、最後の仕事の日に幸せな家のデッサンに出かけて事件に遭遇し…というストーリー。
最中のエグい描写はあまりないし、事件がモデルのマンガだった筈が、マンガがモデルの事件になってとかは有りがちだけど、そこにどうどうと犯人を登場させ、ストーリー上は不明な犯人を追う警察を描きつつ、観客に対しては謎解きを排除して、サイコと向き合う様に特化しているのがとても良い。
最後の一捻りは、幸せの定義を強く謳っていたし、それより大分前の病院での件で想像がついてしまうつくりなのがちょっとねぇ。
どうせならこれも最初から明確に示しちゃうか、こじつけるぐらいの方が良かったのでは?
それと、ここでの警察のぐだぐだ感もちょっとね。
評判良かったらそこから繫げて次作つくる気か?とも思えるラストの中途半端なお残しはいらなくない?
そんな気になるところもあったけれども、サイコ野郎の気色悪さと、潔い退場劇と、追い詰められ変化していく主人公の機微と、とても面白かった。
本作が俳優デビュー?のFukase氏も、この作品を観ただけで演技が上手いか下手か判断するのは非常に難しい役所ではあるけれど、少なくとも今作はめちゃくちゃハマり役で素晴らしかった。
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