「迷子になった監督」迷子になった拳 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
迷子になった監督
凄く観たかった作品。自身もほんの少しだけボクシングをかじっていることもあって、ラウェイに参戦する選手のドキュメントは興味深いものがありました。
生々しい試合シーン、右往左往する格闘技人生、団体のめんどくさい話、などなど日頃カメラに映されることがない映像ばかりでなかなか良いです。
選手がいないということもあり、とりあげる日本選手は一般的には著名では無い。故に、その人生はなかなかうまく流れていないように思えます。
しかし、エンディング曲の中島みゆきのファイトの歌詞の様に、水の流れに抗いながら不恰好でも前に進もうとする姿は、熱く感じ入ります。
また、ラウェイと言う日本の中ではポピュラーではない格闘技の紹介と言う意味では良いかな?
しかし本作はドキュメント映画として、何を描きたかったのだろうか?監督は取材、密着を通して何を感じ、何を得て、何を観客に提示したかったのだろうか?
映像作品としてそこが徹底的に欠けていると思いました。
こなないようなら、休日の午後に某局で放映している、ドキュメント番組となんら変わらないのです。お金払って観るほどか?と。
取材対象が珍しいから、だけでしかないように思います。果たして、ポピュラーなスポーツ、ボクシングを題材としたらこの監督は撮れたのだろうか?と大きな疑問を持ちました。
もっともっと、対象選手の人生を、その背景を、今を掘り下げて欲しかったし、なによりも訴えたいモノを監督自身につかんでほしかった。
残念です。
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