「二人がとてもステキ Rock Steady❗」サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
二人がとてもステキ Rock Steady❗
ドラムがカウントとって始めれば、ライブなんとかなるんじゃないのかと、難聴になっても諦め切れないドラマーのルーベン。ボーカル&ギターで、彼女のルーとの会話もままならないし、やけっぱちになるが、ルーは薄い眉毛の見た目と違ってものすごく冷静で賢かった。そして、施設のJoe が素晴らしかった。ベトナム戦争で難聴になったといっていた。携帯、トレーラーの鍵も取り上げる。ルーとのコミュニケーションも断たれる訳だが、ルーのSNSをPCから隠れて時々チェックし、すこしづつ落ち着いてゆくルーベン。ルーはルーベンのために永遠の別れも覚悟したかもしれない。あの施設で手話を学び、コミュニケーションできるようになり、聴力障害の子供たちからの信頼も得て、見違えるほど生き生きとしてゆくルーベン。ジョーも施設でジョーのプログラム(聴力障害を持つ薬物依存者の支援)の手伝いや教会の学校で子供たちの世話をする正職員としてすごさないかと持ちかける。しかし、聴力を取り戻し、音楽活動を再開するために、2万ドル以上する手術(人工内耳)にこだわり、トレーラーハウスの中の機材やドラムセットを売り、とうとうトレーラーハウスも手放し、ジョーに黙って手術を受ける。
ジョー役のおじさんが渋くてカッコよかった。
ドラムセットを手放す前夜のソロ演奏が森の中に響く。シンバルはジルジャン。ドラムはたぶんパールだろう。スティックはパールが出しているヒッコリーの量販品だった。私もパールのバーチシェルのBXシリーズを譲ってしまう前は辛かった。お茶の水で30年以上前に新品で買ったもので、色はこの映画同様、パールホワイトで、シンバルを増やして60万円以上は当時使った。
補聴器の音は一定せず、周囲の環境によって違ってくる。ハウリングやディストーション、突然の爆音などかなりきつい。ルーベンのあてははずれだった、と思う。
彼は聴力のみならず、バンドやドラムセットも器材もトレーラーハウスも失ったが、ルーとジョーや子供たち、子供たちの先生役の笑顔が眩しいローレン・リドロフ(エターナルズでの出演が控えている)からかけがえのない大切なものを貰った。その自信に裏打ちされた最後のシーンでの表情がそれを雄弁に語っていた。
テーマも斬新で、見せ方、聞かせ方が素晴らしかった。なにより、ルーとルーベンの関係がよかった。ルーのお父さんの弾く曲は変わってた。フランス人の役者さんで、シャンソン風。ルーはもうロックは足を洗ったよう。シックだった。
そういえば、15年ぐらい前、骨伝導機能携帯が発売されたが、今も売ってるのかな?