野球少女のレビュー・感想・評価
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さぁ、しまっていこう!
一人の少女がプロ野球選手を目指す…。物語の筋だけ追えば、スポ根モノのド定番となる内容でありながら、ストレートな展開に持ってこないのが本作のミソ。何しろ試合のシーンがほとんど無いという点も本作が変化球勝負のスポ根映画であることを物語っている。
それもそのはず、本作は野球界という男社会と向き合いつつもプロを目指す、試合以前の戦いに主軸を置いているからである。言うなれば、実力云々以前にピッチャーマウンドに立つまでが物語の肝となる。しかし、女性蔑視や男女差別という問題を取り上げつつも、重苦しい内容になっていないのは、主人公がただ直向きにプロを目指すからに他ならない。
周囲のネガティブな声や性別に関する偏見が多いのに対し、主人公はそのことに不平不満を漏らすよりも、あくまでも一選手として自分の夢を追いかける。男性に力で劣るなら、技術で挑む。中盤の展開はやや単調にも感じるが、入団テストのシーンは一球一球をじっくり見せるという粋な演出がツボに刺さる。
しかし、個人的に一番のツボは本当の物語はここからだ、と感じさせるラストシーン。「さぁ、しまっていこう!」そんな声を彼女にかけたくなるほど清々しい気持ちで私は映画館の座席から立ち上がった。
ちゃんと美味しいさっぱり系塩ラーメン
日本には“スポ根”という言葉があり
そこには汗と血と涙があり
男同士が泣きながら抱き合っても
それに感動する事が日本人は大好きである。
例えばそれを“背脂ギトギト豚入りラーメン”とするならば
この映画は“ちゃんと美味しいさっぱり系塩ラーメン”である。
大喜びをする事はしないが
ちょっとした微笑みで表現したり
熱くはならないがグッとはくる。
問題はその主人公の女の子のキャラの
リズムとテイストを
映画の演出自体も
そのリズムとテイストで作ってるので
映画自体がさっぱり系塩ラーメンなのだ。
周りはガッツン系中華飯店の中にある
美味しいさっぱり系塩ラーメンではなく
店全てがさっぱり系ということ。
まーそれがダメという意味ではなく
こってりを食べに行くつもりなら
「この店はさっぱり系ですよー!」
と伝えたい。
「女性だから」とはもう言わせない
野球リテラシーの全くない私にとっては
主人公がどれ程うまい投手なのかが全く分からないけど
やりたいことがそこにあるのに、女性だからと言うだけで
バッターボックスにすら立てないのは
いや、この場合、ピッチャーマウンドにすら
立てないのはどうなの??と言う映画。
主人公の本気が半端ないから周りが少しづつ
本気になってゆく系の良作です。
感動系が好きな方はぜひ!!
で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては
よく言われることなんだけど、
女性の敵は男社会だけでなく、女性の中の
「女性はこうあるべき」と言う呪縛も大きいんだよね。
この映画の中では主人公のお母さん!
まあ、私に子供がいたら同じようなことを言ったかもしれない。
母ってのは「子供のために」と言う美名のもとに
子供の可能性を潰す結構厄介な「ウエポン」だと思います。
主人公と、コーチの関係も良かった。
主人公の実力を生かせる現実的な戦い方を考えてくれて
お母さんに主人公の成長を伝えてくれる。
ありがたい関係でした。
山場となるシーンで、同じようにプロを目指す女性も登場して
なかなかに見ごたえがありました。
彼女は逆境ファイターだ
2021年3月8日の「国際女性デー」に英経済誌「エコノミスト」が発表した「女性の働きやすさランキング」において、日本が主要29カ国中ワースト2位だったことが話題になったばかりだ。
そして、最下位の29位は韓国だった。
本作はプロ野球選手を目指す女の子のスポ根物語ではあるが、韓国の社会性を背景にした母と娘の確執と、二人それぞれの心の葛藤も描かれている。
貧しい一家の母親は、娘に普通の職に就いて欲しいと思っている。娘は無理解の母と対立するものの、母に従って就職を決意する。ところが母親はそれが娘にとって不本意であることを知っていて、作業着姿の娘を見ることができない。
女であることの体力的な限界を理解し、夢に決着をつけようとする主人公(娘)に対して、この母の心境はより複雑だ。
実現不可能な夢を追う娘を現実の世界に戻してやりたい親心と、夢を諦めさせたことに後ろめたさを抱いた母心が葛藤する。
娘の理解者である体の父親は無責任な存在で、母親は家族に対して強いプレッシャーを負っているように見える。稼ぎがない夫を責めることはあっても、家事や育児には淡々と従事する姿に韓国の家族像が見え隠れする。
しかし、その夫に言われて自分が娘の野球を応援していなかったことに気づいた母親は、トライアウトに挑む娘の姿をスタンドから見て、母である自分以上に娘を応援して支えようとしている人々の存在を知る。
帰宅後、娘がまだ幼い頃にアイスクリームを買ってやるのが惜しくて叱りつけたことを告白し詫びる場面が切ない。
夢など捨てて就職することが正しい選択だと押しつけていたことが、アイスクリームを買ってやらない自分ではなくアイスクリームを欲しがる娘が悪いのだと叱った時の理不尽さに重なったのだろう。
主人公が、野球をやるうえで女であることは長所でも短所でもないと大人たちに言い放ち、自分が目指すのはプロ野球選手なのだと改め自覚した後、一人でアイスクリームを食べながら思いを巡らせたのは何だったのだろうか。
自分は野球フリークではないので、この映画にどれほどリアリティがあるのかは分からない。
星飛雄馬(巨人の星)は、体格が小さいゆえに球威がなく速球ではプロに通用しないことから「大リーグボール」を開発する。
本作と同じ女性投手水原勇気(野球狂の詩)が投げる「ドリームボール」は、その実態がミステリーで、正体はナックルボールだという説が有力だった。
そんなマンガ知識に基づくと、一定の説得力はありそうだ。
映画の主題は、独立リーグ出身の新任コーチと元天才野球少女の主人公が二人三脚でプロ野球を目指す奮闘記だ。
プロ野球が女性を差別している訳ではなく純粋な実力社会であることを前提に、女性だからといって実力が及ばないと決めつける人間の存在を主人公にとっての壁として見せている。
協力者として、プロ入りが決まっている幼馴染みのチームメイト男子と、アマチュア女子野球で活躍している女教師が参画する。
このコーチには複雑なサイドストーリーがありそうなのだが、そこは掘り下げられていない。プロになれなかった自分の指導でいいのかと尋ねるコーチに、主人公は、自分が代わりにプロに行くと答える。直接的には描かれていないが、コーチ自身の再生の物語が裏側に潜んでいる。
幼馴染みのチームメイトは、主人公に男女の体力差を思い知らせる存在でもあるが、野球への情熱を共有でる存在でもある。
女教師はアマチュア野球を仕事と両立させるために寝食を削って真剣に取り組んでいる。主人公はその姿を見つめてはいるのだが、アマチュアは金がかかるというのがプロにこだわる背景にあるというのが不憫だ。女教師もアマチュアを勧めるようなことなく見守る。
トライアウトの場面にしか登場しないが、アメリカのアマチュア野球出身の女性スラッガーが、このエピソードを盛り上げる。
主演のイ・ジュヨンは、韓国で今注目の女優らしい。
母親役のヨム・ヘランが風貌も演技も実にリアルだ。
日本の高校野球が女子に門戸を閉じている点においては、韓国の方が開けている気がする。
恐らく、主人公の野球人生には厳しい現実が待っているだろう。だが、主人公は燃え尽きるまで野球と向き合い続けるだろうし、プロを退かなければならなくなった時、母親は「それ見たことか」とは決して言わないはずだ。
ファイティン!と思わず言いたくなる
簡単に言えばスポ根ものであるが、女子がプロ野球に挑戦するという、しかも、実話がベースらしい😬監督はこれが長編デビュー作と言うことで予算は少なめ、野球映画鉄板の試合のシーンも無い。ヒロインはひたすら孤独に練習を続ける。このヒロイン、イ・ジュヨンは小柄細身で正直、とてもプロ野球に行けるとは思えない。娘の将来を心配して口うるさい母親がリアル。
まあ
本当の野球選手では無いので、プロで活躍できる体躯やフォームでは無いですが、そこは🆗とすれば、なかなか面白かったのではないでしょうか。韓国の女子プロ野球選手を産んだのだから、大変な苦労があった事が感じられました。
物語も、終わり方も良い。
あぁ、水原勇気がいたのに、ナックル姫いたのに、野球大好きな国なのに、韓国に先越されてくやしー!!
ってくらいに、好き!この作品。
経験者が見たら「嘘ん!」な展開はあるそーなんですが、気にならなかったっす、僕は。
本作の魅力の一つは覚悟を決めた人間のストーリー。
フロンティアの着実な一歩。
足の親指に渾身の力を込めて踏み進めていく感じが好き、ロッククライマーのように頼りなげな指先に全体重をかけながら、しかし着実に登っていく感じが好き。
三歩進んで二歩下がる感がよいのです。茨の道感が。
全部にドラマがあり、セリフも泣かせます。
僕イチのセリフはコーチとトライアウトについての会話してるときに、コーチに言うアレです。
泣きました、何故か。
そして、もう一つは性別で判断されてしまう世の中、周囲の目の中でも、抗い信念を貫いていく姿に感銘を受けます。トライアウトのクライマックスはまた落涙です。
それは信念は人をも巻き込み動かせるんだ!って勇気みたいなものが僕の中に溢れてきたから。
プロスポーツは勝ってナンボ、戦力になってナンボ。
アマチュアと違い、商売ですからシビアになります。
ですから昨今言われる性別による差別とは異なると思います。が故に本作は競技者の闘いに終始しているがゆえに、熱く清々しいのかもしれません。
ウダウダ書いてる内容を読み直したら、感動スポ根?みたいな印象かもしれませんが、違います。
地に足がついたストーリーで描かれるアスリートの物語です。競技者として闘い、子供として苦悩し、慣習に抗う一人の女性の物語です。
信じれば道は開ける。
ラスト、彼女に瞳には何が映り、何が宿ったのでしょうか?
秀作です。
イ・ジュヨンはクールで中性的で最高だった。クライマックスは、球団の...
イ・ジュヨンはクールで中性的で最高だった。クライマックスは、球団の申し入れを断るシーン。女性への表層的な尊重の欺瞞をついていた。コーチや父など傷ついた男性の視点があり、挫折した人々にライトを当てているのもいい。
女子野球選手といえば片岡安祐美(投手じゃない)と水原勇気しか知らなかった・・・
韓国のプロ野球界は1996年に女子にも門戸を開いていたということに驚き、実際にもアン・ヒャンミ選手が女性として初めて高校野球部に所属していたらしい。またこの作品では日本のナックル少女吉田えりにも影響を受けているとのこと。
女子野球といえば、『プリティ・リーグ』(1992)が有名ですが、日本や韓国ではやはり女性差別が残っていたのだろうか。日本の高校野球でも女子選手が未だに出場できないとか、マネージャーが甲子園のベンチ入りもずっと出来なかったりしていました。戦後直後には1年間女子のリーグもあり、2009年には日本女子プロ野球機構が発足したりと、徐々に男女とも野球を楽しむことができるようになったとらしいが、やはりどこかに女性差別のあるように思えます。
ただ、野球映画のメインとなるエンタメとはかけ離れた、自分を信じ続けるものの母親の厳しさに父親のだらしなさも相まって家計のために一度は断念し、あくまでもプロ選手になることにまい進する姿を描く、いわばスポ根ものといった雰囲気。野球の楽しさを女子にも!といった理想は、試合経過などは描かれないため野球の醍醐味や楽しさが伝わってきませんでした。それに、勝気で自尊心あふれた性格にもちょっと引き気味で・・・それよりプロになるぞ!という意識にしても、苦難の連続になるのだから独立リーグでいいじゃん!とも思ったりした。星野伸之みたいに活躍できればいいんですけどね。
気になった台詞は、「面白い」。結局はサーカスか?客寄せパンダ的な扱いしかされないのか・・・といったシーン。さらに8安打された試合の経過も気になるところなのに・・・
一風変わった韓国映画
どこがでそんな風に評価されていたような?
エネルギッシュな韓国映画にしてはあっさりし過ぎ?
彼女の凄さや、頑張りがあまり響いてこなかったのはなぜ?
あまり感情移入できないまま終わってしまいました
リトル巨人くんだと思っていたが
キャプテンかプレイボール。
才能を活かしてプロ選手をきりきり舞いさせるストーリーと勝手に思い込んでいた。
が違った…
プロ入りするままでの頑張る姿を描くんだとしたら、もっと根性ものにして欲しかった。
韓国作品ならもっとわざとらしい演出が良かった。残念。
良かったです。
試合のシーンがないこの映画も野球映画って呼ぶのかな?
男性のみの野球界に女性ながら挑んで行く物語です。
女性としては早い130km/hの球を投げるが…
割と淡々と物語は進んで行くのですが、気付いたら泣いてました。そんな映画です。
現実にあるのを見たかの様!
物語は、中学年から才能を持った、今は高校生になったプロを目指す女性の、シンデレラストーリー!と書く方もいるかもしれない。
邦画で同じような作品があると思うが、総じて綺麗な描かれ方をしているのでないだろうか。
スポーツとは縁のない俳優・アイドルが、たまにユニフォームをドロだらけにし汗をかき、キレイなバットを振って、キレイなグローブでボールを取る。
投げ方や打ち方は、キレイでないけど…。
綺麗な時は、大概吹き替え💦
キメの時は俳優さん自身でやらないとダメだから、
キレイでないプレーで終わっても、
必ずハッピーエンドになる…。
映画だから良いのだが…。
今作品は、そういうのとは対極にある気がする。
根本的な事、才能がある(速球を投げる)設定は同じでも
すべて今そこにある様で。
女子高生役の俳優さんは、撮影前にトレーニングを重ねてあのキレイなフォームが生まれたとか。
同級生のプロになる俳優やコーチ役の俳優さんも同じように!
皆一様に、野球をやってる、プロを目指している!
今現実にすぐそばで見ている様だった。
脚本が素晴らしい
強いメッセージが伝わる映画。男女平等になりつつある現代だが、やはり肉体的には平等にはなれない。男女は筋肉が違うし、身長も体重も。もちろん精神世界は男女が好ましいし、そうしたい。この作品は綺麗事ばかりじゃないけど頑張ろうってメッセージだと思う。
母と娘の関係も完璧。親としての役目をまっとうしようとするあまり娘を押さえつける。でも良い親だからそうしてる。娘も若者の考えだから夢を追いたい。やれると思っている。それも素晴らしいと思う。若いのに希望がなく生きるなんて生ける屍だから。二人の葛藤、和解も素晴らしい。
親になっている人、親を持つ若者には是非見てほしい。ラストの落とし所も最高。
下手な映画だとプロになってめでたしってつまらないラストだが、そこは韓国映画。そう来たかと合点がいく今の所本年度No.1。
女性だか ら、という男性側の偏見に闘い続けた人生を描くたくましい物語
新庄剛志さん、スポーツ界に刻まれる『記憶に残るスーパースター』50歳前にしてプ
ロ野球選手に本気で挑戦した言葉『1%の可能性があれば、必ずできる。』記憶新しく重
なった物語。夢への挑戦に置かれた境遇へのハンディキャップを語るのは愚問に感じ
る。女性なのに凄い!とか女性なのに頑張った!という言葉がなくなれば新しい時代
の形が見えてくるのでは。この映画、韓国の新世代スターが演じる主人公は女性だか
ら、という男性側の偏見に闘い続けた人生を描くたくましい物語。
あくまで映画ですが、もう少しリアリティも必要かな。
映画の出来がどうこうと言う前に、ちょっと野球の描写がイマイチかな。
主人公の女の子も、さすがに体が普通の女の子過ぎて、投げ方もあれでは80キロ出たら御の字ですね。
音楽関係の作品だと、楽器を弾けない人が演奏してたりしますが、スポーツは体格からして違いますから、ちょっと難しいですよね。
本物の野球選手を連れて来ても、これまた、ギャップが大きくなって、体格の違いが強調されますから、難しいかなという感じですね。
イ・ジュヨンさんですか。まあ、彼女ありきなら仕方ありませんが、もう少し、野球の描写にこだわると、見ごたえが出てくるんじゃないかな。
ストーリーはというと、これも、ちょっと無理があるかな。
あきらめない!というより、ゴリ押しに近いですね。映画だから契約してくれる球団がありますが、実際にお金を出すプロ球団はないでしょう。
もう少し、爽やかに描けたら、ということで、こんな低評価ですみません…というレビューになってしまいました。
まあ、観てみて、皆さんのレビューも聴かせてください。
感動できます。
女子高生がプロ野球選手を目指すってちょっとコメディ寄りの映画かと思ったらそうではありませんでした。
夢に向かって頑張る主人公スインの曇りないひた向きさに感動できます。
そのスインの強い想いにまわりもどんどん動かされて感動の結末に涙がこぼれました
スインを演じたイ・ジュヨンはじめ出演者全員の演技が素晴らしかったです。韓国映画、恐るべし。
2021年はじめての星5個をつけました。オススメです!
みんなは『野球狂の詩』を連想したみたいだけど・・。
口数は少ないが情熱を秘めた眼差し。
その眼差しの片方が、たまに前髪で隠れる。
主人公の少女を見て、『あしたのジョー』の主人公、矢吹丈を連想してしまった。
そう思うと、どことなく映画の雰囲気も、このシーンも、この会話も、アニメの『ジョー』っぽいじゃないか。
なんて考えだしたら、もうアニメ『ジョー』への思いが映画に重なってしまい、涙があふれてしまった。
この映画は野球の映画というより、いろんな、ちょっと不器用な人たちの情とか、思いとかを描いた作品だと思う。
じんわりと心に残る映画だ。
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