「監督のメンタルを注ぎ込んだ意識混濁ムービー」カポネ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
監督のメンタルを注ぎ込んだ意識混濁ムービー
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アル・カポネの晩年に対する興味が強かったのだが、果たしてこれは伝記映画と言えるのか? 手元にあったはずの上下巻のカポネ伝記本は売っぱらってしまったようで見つからないが、梅毒に侵されたカポネが、出所後にたどった運命はだいたいこんな感じだったと記憶している。ただ、あまりにも譫妄の領域に入り込んでいて、果たして今観たのはなんだったのか?とわからなくなる語り口は、面白いかどうかはともかく妙に癖になる酩酊感がある。
聞けば『ファンタスティック・フォー』で大手スタジオと揉め、作品は酷評&大コケの憂き目をみた悪夢のような実体験が反映されているらしい。一映画人の苦悩と、稀代のギャング王の凋落の軽重は、正直われわれ外野にはわからない。カポネを私物化することの是非は脇に置いて、かくも強烈なヘンな表現が生み出されたことは、ジョシュ・トランクに期待を寄せていた映画好きにまた次作も観たいと思わせてくれるだけの凄みでもあったと思う。
ネタバレになりますけど、隠し財産は「それは持ち出すな!」と怒っていたあの中にあったってことですよね?今からフロリダまで行ったら手に入れられますか?(譫妄)
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