「凄味溢れた演技とメイク」カポネ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
凄味溢れた演技とメイク
要介護な認知症老人の、夢か現か状態がテーマ……かな?
メリハリがなく、盛り上げどころもない。
作劇的には眠気を誘うタイプ。
トム・ハーディだからこそのユーモラスさたっぷりな演技と、特殊メイクがツボ。
本作内でのカポネの年齢は明かされていないが、二度の感謝祭を考えると、最晩年の47~48歳(=没年)くらいだと思う。
1940年代アメリカといえば、平均寿命が63〜65歳前後。
作中のカポネは、病気(梅毒と痴呆)もあって、まるで今の60代相当の老け方で表現されていました。
トムハって撮影当時は42~43歳のはずだが、すごい演技力だなあ、と。
特殊メイクの凄さはまず、作中の時間経過とともに、梅毒の悪化具合がリアルすぎるところ。
皮膚の爛れ、鼻や目や耳の形状の崩れなどが、昔、医学書で見た写真そっくりでもう。
カポネの仇名(スカーフェイス)になった顔の傷もしっかり再現。
脱税で投獄されていた間に、若い頃感染した梅毒が悪化して脳にまわり、認知症になったカポネ。
梅毒治療としてペニシリンが一般民間人に投与されはじめたのが1945年で、カポネもこの開始時(45〜46歳)に治療を受けたものの、梅毒が進行し過ぎて全く効かなかったという史実を知っていると、この姿がいかにリアリティ溢れているかがわかるが、さりとてそこに感動する人はいないと思うので、微妙か。
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