「アル・カポネmeetsスリラー映画」カポネ regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
アル・カポネmeetsスリラー映画
“暗黒街の顔役”アル・カポネが登場する劇映画やドラマは多々あれど、どれも彼の晩年を描いた作品はなかった。本作は、そんなカポネの知られざる最晩年を、しかもその役をトム・ハーディが演じるというだけで興味津々。
48歳なのにまるで老人と化したカポネは、既存のキャラクターイメージを大きく覆すこと間違いなしだし、カポネ役のハーディによる、これまたギャング映画『レジェンド 狂気の美学』でも見せたキレキレ演技はインパクト大。
ただ、あらすじ自体は監督兼脚本のジョシュ・トランクのインスピレーションで占められているせいか、演出もトゥーマッチ感は否めないところ。トランクが大のキューブリックマニアで、キューブリックの『シャイニング』を彷彿とさせるシーンもあったりと、ジャンル的にはカポネのキャラクターを借りたスリラーに近いかもしれない。
トランクは、『クロニクル』や『ファンタスティック・フォー』でも複雑な父子関係を描く事にこだわっていた節があるが、本作でもやっぱりその要素があるのが興味深い。
『ファンタスティック・フォー』での大失敗が尾を引き、スター・ウォーズのスピンオフ企画だった『ボバ・フェット』からも外されるなど、ここ数年はどん底状態だったトランク。そんな彼が、体もボロボロで財産も底をついたカポネに自己を重ねたのでは…とは穿ち過ぎかな。
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