ビバリウムのレビュー・感想・評価
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静かな気味悪さ
予告を見て「ルネ・マグリットの絵みたい!」と思い、気になって観に行きました。
主人公のカップルが、不気味な子供を無理やり育てさせられ、育ちきったらお払い箱…。なぜ、なんのために子供を育てさせられたのか、この空間を作ったのは何者なのか、等は最後まで結局分からず、次の犠牲者が増えていきそうな雰囲気で終わります。なぜこんなことをさせられるのか理由が分からない、というところが冒頭のカッコウの托卵と繋がるんだな、と思いました。人類に対するカッコウのような何かがいるんでしょうね…。人類を超越した何者かの存在がほのめかされるが結局正体は分からない、という不気味さは個人的に大変好みです。人がおらずシンとしたヨンダーや、延々同じ形の雲が浮かぶ空など、雰囲気やビジュアルもやはりどストライクでした。謎のうねうねしか映らないテレビがMVPです。
ホラーとしては突然の脅かしもスプラッターもなく、淡々と進んでいくためかなり地味です。ちょっと冗長かな、と思うところはあったので、雰囲気好きですが★4で。
グロが得意ではないので、R15に若干おびえながら映画館に行きましたが、グロではなくエロ(しかも一瞬)のほうでしたので安心して観れました。これもエロシーンっていうより、人類の生態を観察してたんですかね…。
凝縮
延々と続く住宅地に絵に描いたような空と雲という異様な空間に、居心地の悪さを感じました。
そんないかにも人工的な奇妙な空間ながら、主演二人のリアルな演技で、シュールな恐怖が伝わります。
この空間の作り主の正体は明確にされませんが、そういう生態のエイリアンか未知の生物か、というような解釈をしています。
しかし、この未知のものに囚われる恐怖の生活は、現実的な人生の縮図のように感じます。
自分の家を持つというステータスに囚われる。
高額な家を買ってローンもあったりすれば、家に囚われる。
子供が出来れば、子育てに囚われる。
子供の泣き声に悩まされ、思い通りにならない子育てにカップルの間で諍いになる。
育てても、意思の疎通が困難で用済み扱いされる。
家を持って家庭を持って子供を育てるとなると、嫌なこともあれば良いこともあると思います。
が、これは、嫌な部分を凝縮したようなホラーだなと感じました。
詰めが甘いのでもったいない
アバンで、托卵がテーマであることが明示され、それ以上でもそれ以下でもない映画。
ニュータウンの雰囲気、主人公カップルの距離感、不気味な不動産屋や子供など、あちこち面白い絵づくりはあるものの、軟禁されてる生活がとにかく退屈。
たくさん同じ家が並んでいるのになぜこのカップルしか住んでいないのか、子供に対して気持ちが変化することはないのかなどなど、そういった小さい描写の積み重ねがないので、せっかくのクライマックスの面白い画像が活きてこないしオチも昔のマンガみたい。
荒唐無稽でも「US」はその辺りにこだわりがあったなあ
ホラーのくせに淡々としすぎてる
家を探していたカップルが案内されたのは、同じ形の家が並ぶ住宅地。そこから脱出できなくなった2人は赤ん坊を託され育てることを強要されるというシチュエーションホラー。
序盤は予告で観ていたレベルを超えず、しかも淡々と進むので眠気と闘うのに精一杯だった。しかも眠気に負けてしまったときもあったし。
冒頭でカッコウの託卵の映像が流れたのでそんな話なのかと思ってたら、そこからブレることはなかった。子どもの叫び声が不快というだけで全然怖くなかったのだが、唯一おっ!と思ったのが、家の前の縁石を持ち上げて地下に潜っていくシーン。あの不気味な感じは悪くなかった。やっぱり他にもそんな人がいたんだねと。ただ、それ以上に深まることはなく、あれが一応のクライマックスだったようだ。
ラストも妙な雰囲気そのままで悪くはないのだが釈然とはしない。それなりに面白そうだと思っただけに残念だった。
托卵(たくらん)を人類に置き換えた、こわ~い話。
「ビバリウム」(原題:Vivarium)。
とてつもなく気味悪いけれど知的な面白さがある。マトモな人なら困惑する映画だが、それは大自然に対する人間のエゴイズム(利己主義)なのかもしれない。
動物の托卵(たくらん)習性を人間に置き換えた実験的な作品。
新居を探すカップルのトマとジェマが、挙動の怪しい不動産屋に紹介された"Yonder(ヨンダー)"は、同じ形、同じ間取り、同じ色の建売住宅が並ぶ不思議な住宅開発地。案内された"9番の家"を内見していた2人が気付くと、近くにいたはずの不動産屋の姿が見えなくなっていた。
帰ろうとした2人がクルマを走らせるが、どこまでも続く同じ形の家。迷い込んだ2人が車を止めると再び"9番の家"の前。"Yonder(ヨンダー)"から抜け出せなくなったカップルの恐怖の生活が始まる。
毎日、食料や消耗品が入ったダンボールが家の前に届くが、いつ、誰が置いていくのかも分からない。そんなある日、ダンボールには赤ん坊が入っており、"育てれば開放される"の文字。
人間とは思えないスピードで成長していく赤ん坊に戸惑いながら、主人公たちとともに観客もどんどん精神崩壊の道連れになっていく。
この映画にフィクションとしての典型的なオチを求めることはできない。実際、先に述べたように単なる"托卵(たくらん)"の隠喩でしかないのだから。
"托卵(たくらん)とは、卵の世話を他の個体に托する動物の習性のことである。代わりの親は仮親と呼ばれる"(出典:Wikipedia)。
鳥類のカッコウが自分の卵をオオヨシキリの巣に托卵するようなもの。鳥類だけでなく昆虫や魚類でも同様の行為が見られ、自然界では特にレアケースというわけでもない。
自然界における人類は、動物の種のひとつに過ぎない。
もし人類に托卵を仕掛ける種がいたとして、それでも淡々と生活を続けるとしたら。
知恵を持つ人類は、"動物の頂点に君臨している"と勘違いしている。だから地球を汚し、傍若無人な行為に気をとめることもない。そんなことをこの作品は遠回しに警告しているのか。
カッコウの托卵については、"そういうもの"と理解してしまう割に、我々はこの作品の持つ隠喩に理不尽と思えるような混乱を受ける。
本気で、種の多様性を守るとしたら、すべての人間が生き残ることを前提とした自然環境活動さえも否定しかねない、こわ~いテーマだったりする。
(2021/3/13/TOHOシネマズシャンテ Screen1/G-10/シネスコ/字幕:柏野文映)
「怖い」ではなく「気味が悪い」止まり。でも及第点
ホラー映画の正解が「怖いこと」であるとするならば、この映画はギリギリ及第点といったところでしょうか
きちんと怖くて、なによりも気味が悪い
怖がりだった幼少期の自分が映画館で見ていたらおそらくトラウマになっていたことでしょう(笑)
とはいえ、あくまでも及第点。他の方もレビューしている通り、自分の想像を裏切ってくれないもどかしさや小道具・設定の説明不足による不完全燃焼を感じたのも事実です
それはさておいて、1番の謎はエイリアンはなぜあんなに回りくどい方法で子育てをしているのかです…
郊外の新興住宅地の怖さを感じさせる様なシチュエーションスリラーです。
予告編を観た時から気になってた作品を鑑賞しました。
都内での上映館は3館のみと意外に少なく、有楽町のシャンテで鑑賞。
で、感想はと言うと…一言で言うと変な映画。
いろんな部分で気持ち悪さがありつつも不思議な感じで、何処かファンタジーな雰囲気もありつつかと思いきや、結構報われない作品で90年代ぐらいの不条理シチュエーションスリラーな感じがします。
以前に観た「プラットフォーム」よりも「CUBE」っぽいかな?
ふと立ち寄った不動産屋に勧められた郊外の住宅を拝見した時から住宅地内から抜け出せなくなったカップルが家の前に置かれたダンボールの中の赤ん坊を世話をするが、その赤ん坊が驚異的に成長し、抜け出せない住宅地で永遠に続く日々に精神が蝕まれていく…と言うのが、ざっくりとしたストーリー説明。
何故抜け出せなくなったや目的と言った部分での説明は殆ど無し。
冒頭で描かれたカッコウの習性の「托卵」をモチーフにしているであろうと言うのは中盤辺りからなんとなく予測出来てくるとしても、意図としている事などが不明なのが、逆に最近では珍しいぐらいの不条理な作品w
でも、こういった作品は嫌いじゃないんですが、鑑賞した「TOHOシネマズ シャンテ」向きじゃない感じですが、上映2日目とあって、満席でしたw
緑に塗られた壁の同じ造りの家が果てしなく建ち並ぶ住宅地はかなり異様。
異次元の様な様はかつて郊外にラッシュの様に作られた新興住宅地の様子と一緒。
今でも郊外に同じ造りの家が建ち並ぶのには何処か気持ち悪さを感じるし、“こんなん引っ越したばかりなら絶対迷うやん!”と思いますw
また絵に描いた様な青空に同じ形の雲が並ぶのも異様な光景。
子供の頃に見た事がある様な感じが何処かデジャブして、不快感がマシマシになるんですよね。
閉じ込められた中で唯一、答えになろうとするのが「子供」を世話する事。
でも空腹になると奇声を発し、物真似の様にオウム返しをする子供が気持ち悪いんですよね。
家の扉に「9」の数字が付いてあって、それも意味があると思うんですが、その意味が深いのか浅いのかも解らず。それ以上に異常な世界観がビジュアルカラーとの対比があって怖いんですよね。
テンポは結構良くて、前半は割りとサクサク進むんですが、中盤辺りから中弛みがして、何か事件とか進展も特に無い。
淡々と進んで行くので上映時間の割には時間の経つのが遅い感じがします。
タイトルの「ビバリウム」は「生き物の住む環境を再現した空間」を意味と「爬虫類や両生類の棲む環境を再選したケージのこと」らしいんですが、人を何処か生物として俯瞰的に観賞しているとすると、意味や作品の意図がなんとなく分かります。
また、観葉植物や苔などを使用して作られると癒しをもたらし、飼育する生体にはストレスの少ない環境を提供するとの事ですが、劇中のあの住宅地のビジュアルは「観賞」と「観察」を意味していたとすると…なかなか考えられた気持ち悪さですw
こういった作品に意味や意図は求めてはいけないんですが、個人的にはシャンテでやったのがなんか凄い。
「TOHOシネマズ シャンテ」って劇場のイメージと違って、またに変な作品を上映しますよねw でも嫌いじゃないですww
ジェマ役のイモージェン・プーツは今年の5月に公開予定のアンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」にも出演しているんですが、個人的にはなんとなく気になる女優です。
「ミッドサマー」よりも意味の無い感じの不条理な不思議映画で好みが分かれるかと思いますが、気になる方は如何でしょうか?
雰囲気で味わおう❗️
VIVARIUMの意味
『(自然の生息状態をまねて作った)動植物飼養場,動物施設,小動物保存施設』
なるほど。
確かに。
ということは、あの生命体の個体の寿命は
せいぜい200日くらい?
(セールスマンの交代要員養成までのサイクル)
人間社会のモノサシだとあり得ないほど
悪くないですか?
コスパが。
でも、こういう雰囲気、嫌いじゃないです。
生存の意味を問う哲学的な不条理。
と見せかけて、実はなんてことないんですよ、
作ってみたかったんです、こういうのが。
というノリ。
カッコウ
主人公のジェマとトムのカップルは二人で暮らす家探しに不動産屋へ。
そこの不動産のスタッフが奇妙な奴である。
案の定連れて行かれたのが一戸建てだけで何百もの家が連なる広大な住宅街。そこにジェマとトムは置き去りにされ閉じ込められてしまう。
携帯の電波も繋がらず車もガス欠し、助けが来るまでここで住むことになったジェマとトムの下に赤ん坊がやってくる。冒頭にカッコウの雛、そしてそのカッコウの雛に殺された他の鳥の雛の描写がある事からこの二人がカッコウの雛を育てさせられるターゲットにされた他種の親鳥のような展開になるのは予想される。
案の定そのようなストーリー展開が続き赤ん坊は人間とは明らかに異なる成長スピードで成人し、成人後は育ての親となったトムとジェマを殺し次のターゲットとなるカップルを探す所で作品は終わる。
カッコウの性質そのまま比喩したわけではないが概ねカッコウの性質を比喩したストーリー展開。そこにサイコ要素だったりホラー要素なんかも入り混じっているが、ストーリー性に欠ける。よく言えばアート性の高い作品のため頭であれこれ考えてしまうとこの作品の世界からどんどんかけ離れてしまい同時に楽しめなくなる。いかに没入できると楽しいんだろうと思う。
最初の不動産スタッフとジェマ達が育てた赤ん坊は人間ではないエイリアンのような存在なわけだが、
個人的にはあのエイリアン達がジェマ達らのように人間に育てさせ後にどんどん数を増やし地球を支配していくような展開があるのかなと期待していたがそのような描写もなく、最後は最初の不動産スタッフが死に入れ替わりになる所もイマイチ理解が追いつけず。
独特な雰囲気は終始漂っておりハマる人にはハマりそうな作品ではある。
ただ同時に好き嫌いは大きく分かれる作品にも思う。
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