返校 言葉が消えた日のレビュー・感想・評価
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生きていれば‥
台湾のゲームをモチーフにしたホラー映画だが、当時の政治的背景が織り込まれており物語として見応えある作り
言論や思想が制限された世界で、当時の学生の自由への想いや希求が切ない
ネットも携帯も無いアナグロの時代だからこその描写もあり、その中でもノートに描いた鍵盤を使ったシーンは美しい
チャン先生が高橋一生に似ていた
【国民党への皮肉を込めたホラー・ラブ・ストーリー】
これ、もともとは国民党を皮肉ったストーリーのゲームとして考えられたのではないだろうか。
国民党の大陸への郷愁をホラー・ラブ・ストーリーに擬(なぞら)えた物語のような気がするのだ。
国民党は、中国共産党に追い詰められ、大陸から台湾に渡り、拠点を移し、引き続き中華民国を名乗って、長期間にわたって台湾で独裁を行なってきた。
もともと大陸の政党だったため、台湾での基盤が脆弱で、独裁が必要だったのだ。
その後、他の政党の結党が1989年に認められ、民進党が生まれ、2000年には、初めて政権を奪取する。
しかし、陳水扁のスキャンダルで2008年には国民党に敗北、蔡英文の党立て直しを待つことになる。
この間、経済発展の著しい中国との関係を深めようとする馬英九に対し、民主主義の後退を懸念する台湾市民(国民)は、2016年の選挙で再び民進党政権を選択、つまり、蔡英文政権を誕生させたのだ。
この映画の元になったゲームが生まれたのが2017年ということを更に考えると…、
上手く説明できるかどうか不安なのだけれども…、
中国共産党とは、イデオロギーは決して相容れないものの、国民党は、結党の地である中国大陸への郷愁を捨て切れず、民主主義の理念を上回って、言われるがままに中国政府の唱える一国二制度を受け入れてしまうのではないのか、そのために台湾市民(国民)の自由民主主義が政治リスクにさらされるのではないのか。
台湾は大きな島(国)で、大陸とは異なる文化や風習を育んできたというアイデンティティもあるはずだ。
こうしたことを思い出しながら、この作品を観ると、ファン・レイシンは、本当はどの様に振る舞えば良いのか理解しているのに、チャン・ミンホイへの想いや、イン・ツイハンへのジェラシーが上回ってしまい、ウェイ・ジョンティン達仲間を取り返しのつかない状況に追い込んでしまったと云うストーリーに擬えられているような気がするのだ。
映画は、エンディングで、長い年月を経て、どちらも向き合えるのだと上手くまとめているような気がする。
外形的には、大陸で生まれた政党であっても、国民党の大部分は元々の台湾市民(国民)の政党なのだ。
だから、同胞として、分かり合えるんだと結んでいる気がする。
勝手解釈でした。
期待値はいきませんでした
あの頃の台湾の歴史、社会を知ってるだけに学校の怪談的なホラー要素の中で歴史を語るのはどうかな、と思った。でも、若い台湾の世代にはそうやって台湾の歴史を知るのは良いのかもしれないけど。
とても贅沢な、この夏のオススメ映画のひとつです
前半のホラーテイスト(白状しますが、富士急ハイランドのお化け屋敷と同じくらいビビりました)。
展開するにつれ、どんどん魅惑的に引き込まれていくファンを演じる女の子の表情、印象的なオデコと眉毛。
他にも語りたくなる要素が盛りだくさんで、とても贅沢な映画です。
但し、相性の悪い方には、それほどでもないかもしれません。海の幸の生臭さが苦手な人にとっては、どれほど贅沢な海鮮丼であっても、さして魅力的に感じないのと同じように。
圧政下で、自由のために命懸けの抵抗を続ける者たちとそのリーダー。
無垢で真っ直ぐな恋情を抱く少女。
想定外の動機が招くことになる悲劇。
どれもこれも絵に描いたようによくあるパターンなのに、絵に描いたように綺麗で淡くて(ノートに書かれたピアノの鍵盤❗️、少し勇気を出して座り位置をずらして近づくシーンのいたいけさ)、時にはいかにもホラーなドロドロした描写。
緊急事態宣言下、なかなか遊びに行けません。
お化け屋敷でダークファンタジーとホラーとミステリーと青春と恋愛と体制との闘いを味わうことができるのですから、うん、やっぱり贅沢な映画だと言い切っちゃいます。
顔と言葉を奪われた“袋を被る人々”
元々は台湾のホラゲのようです。『返校 Detention』。
原作のゲームは未プレイですが、所見でも十分にホラゲっぽい要素は堪能できます。
廃校に現れる謎の生命体とか。教室の入り口や窓に張り巡らされた無数のお札とか。自分の名前が書かれた墓とか。
ただ、導入部分の『読書部』の成り立ちから始まって、いきなりホラゲのターンになるので、心臓が悪い方はちょっと構えておいた方がいいです。
導入部↓
独裁政権により言論統制されてた時代。
ウェイ・ジョンティンは教師や友人達と一緒に政府に禁じられた書物を読む『読書部』に所属していた。
『読書部』では政府により発禁本とされた本の朗読や書き写しが日常的に行われていた。
ある日、ウェイは校内有数の模範生であり、片想いの感情を抱いていた相手:ファン・レイシンと廊下でぶつかってしまう。
床に散らばる鞄の中身。
それを拾い上げる際に、発禁本を書き写したノートを見つけてしまうファン。
ウェイはファンが自分のことを政府に密告するのでは、と恐れるが、ファンは素知らぬふりをして去っていく。
予告編等の情報からもわかるとおり、この『読書部』は登場人物の誰かによって告発され、何人かの所属者達が政府によって命を落とすことになりますが、その辺の種明かしが告発者による追想という形で描かれます。
そしてこの追想を、ドラマパートで描き切るのではなく、ホラーパートで消化する形となっている。
ホラゲ原作として触れるのであれば、良作だと思います。
ただし人間ドラマや歴史ものが好きな人にとっては、多少物足りなく感じるところがあるかもです。
全体的に三部構成となっていて
1幕 謎の廃校を逃げ回るホラーパート
2幕 告発者が何故『読書部』を告発するに至ったかを掘り下げるドラマパート
3幕 廃校が閉じるまで&生き延びた人が果たした約束について(ホラーパート&ドラマパート)
こんな感じです。
全体的に人間描写が非常に丁寧な作品と思いましたが、冒頭の『読書部』の日常→廃校で謎の生命体に追いかけられるまでの流れが結構強引なので、それを乗り切ればまあ観やすいです。
ホラーパートの方では“袋を被った状態で死んでいる人”の姿を何人も見かけますが、ラストまで辿り着いて、ああ、そういうことかと納得。
角川ホラー映画が好きな人、ホラゲが好きな人は十分に楽しめる映画だと思います。
ホラービジュアルは満点に近い
校舎で目を覚ましたファンは普段と違う校内に違和感を覚え…。
激しい思想弾圧が行われた時代を舞台としたホラーゲームの映画化作品。原作の独特なビジュアルが丁寧に再現されている部分は満足だが、物語を分かりやすく改変しすぎていてラストシーンはやや不満でした。
独占と苦悶
1962年中国国民党独裁政権下の台湾の高校で巻き起こる不可思議な話。
放課後の教室で居眠りしてしまった女生徒が目覚めると、周囲には誰もおらず荒れた状態で、校舎内を彷徨う中で後輩の男子生徒と出合い、不穏な状況に陥っていくストーリー。
始まって5分で何があったか、どういうことかは判る中で、不穏な出来事の数々と何故そうなったのかを、発禁本を所持し読書会を開いたり謄写したりする一部の生徒と教師達によるグループを絡めながら見せていく展開で、序盤ははオカルト重視、その後はドラマ重視という感じ。
時代背景が大きく関与してくるとはいえバリバリホラーなのに、締め付けられる恐ろしさと不気味さや、悲しさとやり切れなさがとても好みだったし、終盤の展開も重さがとても良かった。
ただ、全体的にテンポがイマイチだし、2章目の途中からクドさを感じてしまったし、締めのパンチが少し弱かったかな。
ホラーだからこそ、より伝わるテーマ
普段、ホラーは苦手で見ませんが、興味深いテーマと台湾の情勢の背景を知りたく、鑑賞しました。
ホラーが久々すぎて最初は怖くなり、目を塞ぎたくなることもありましたが、そこまで怖くないとわかると、慣れてミステリー性のある話へ惹かれていきました。
弾圧する政権を、非現実性、非人間的なホラー要素と掛け合わせ、当時の状況や暮らす人々の心情が直接的に表現されるより深く伝わってきました。
当時の台湾での言論弾圧の背景、この映画が2019年に台湾で人気を博した理由、教師と学生を突き動かしていたもの。この映画をきっかけにより深く理解してみたいと思います。
学園ホラー
台湾の自由がなかった時代設定。
現実か夢なのか、妄想なのか?
ちょっと分からないままラストへ。
期待ほど面白くなかった。
眠気が醒めるようなホラー場面もあったが、随所でまさかの寝落ちしてしまった。
評価は軽い参考までに。
せつないラブストーリー
ホラーを期待して見たのがよくなかった。終わってみればせつないラブストーリーとしてまとまっていたし、国民党政府による思想弾圧の過酷さ、相互監視・密告社会でおきる悲劇がテーマなんだなと途中で気がついたんだけど、もう眠くなっていた。
女子高生のファンは、学校の教室の居眠りから気がつくとあたりは暗く誰もいない。先生を見つけて呼びかけるが返事がない。周りの雰囲気はおどろおどろしく、異世界に迷い込んだ感じがする。ここから過去にエピソードに戻ったり、拷問のシーンになったりして何が起こっているのかよくわからない。半分もすぎるとようやく全貌がわかってくるが、幽霊も魔物の見た目が全然怖くない。これがだめだよね。もっとゾクゾクしたかった。ストーリーとしてはよくできていたから、ちょっと残念。
台湾で観ました
ホラーな部分もありますが、ミステリーの部分が多く、あまり怖くはありません。
自由、民主主義は現在、台湾では当たり前に存在していますが、この映画の舞台である1960年代は現在の中国と同じくらい自由も民主主義も無かった時代でした。鑑賞される方には是非この映画を通して民主主義や自由の大切さを感じてほしいです。 脚本自体もおもしろく、最後は少し涙が頬をつたいました。 オススメです!
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