「何の映画?」返校 言葉が消えた日 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
何の映画?
“ゲームが原作”ということで、ゲームをプレイしている感覚が楽しめるのかと観に行った。
しかし、その期待は裏切られた。
原作ゲームが1人称なのか3人称なのかは分からないが、いくつかのシーンを除いて、ゲームプレイの感じがなく、“異世界への没入感”を得ることができなかった。
ゲームプレイ感覚が得られない大きな原因は、主人公がはっきりしないことだろう。
ジョンティンなのか、レイシンなのか。この2人の行動が同期していればいいのだが、真逆の行動をとるのである。
“ゲームプレイヤーとしての観客”は、どのキャラクターを動かした気になればいいのか分からない。
別に“ゲーム映画”でなくてもいいのだが、かといって、映画の作りは普通ではない。
ジョンティンのストーリーも、レイシンのストーリーも、“劇映画”というにはあまりにも薄すぎて話にならない。
美術だけ見れば、スプラッター系でないにせよ、はっきりと“ホラー映画”だ。
しかし、この映画で本当に“コワい”のは血まみれ死体ではなく、「思想弾圧」という政治権力であり、「私怨による密告」なのだ。
悪い意味でジャンル不明な、中途半端すぎる作品と言わざるを得ない。
台湾のかつての「白色テロ」をテーマに描いた作品というが、台湾で大人気なのはどういうわけだろう?
現実の“中国の脅威”が潜在意識として影響しているのかもしれないし、あるいは全く逆に、今は“民主主義を謳歌”しているがゆえに、過去の歴史をホラーとして楽しんでいるのかもしれない。
どちらなのか、台湾の事情通に教えて欲しいところである。
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