劇場公開日 2021年7月30日

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「【国民党への皮肉を込めたホラー・ラブ・ストーリー】」返校 言葉が消えた日 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【国民党への皮肉を込めたホラー・ラブ・ストーリー】

2021年7月31日
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これ、もともとは国民党を皮肉ったストーリーのゲームとして考えられたのではないだろうか。

国民党の大陸への郷愁をホラー・ラブ・ストーリーに擬(なぞら)えた物語のような気がするのだ。

国民党は、中国共産党に追い詰められ、大陸から台湾に渡り、拠点を移し、引き続き中華民国を名乗って、長期間にわたって台湾で独裁を行なってきた。
もともと大陸の政党だったため、台湾での基盤が脆弱で、独裁が必要だったのだ。

その後、他の政党の結党が1989年に認められ、民進党が生まれ、2000年には、初めて政権を奪取する。

しかし、陳水扁のスキャンダルで2008年には国民党に敗北、蔡英文の党立て直しを待つことになる。

この間、経済発展の著しい中国との関係を深めようとする馬英九に対し、民主主義の後退を懸念する台湾市民(国民)は、2016年の選挙で再び民進党政権を選択、つまり、蔡英文政権を誕生させたのだ。

この映画の元になったゲームが生まれたのが2017年ということを更に考えると…、

上手く説明できるかどうか不安なのだけれども…、

中国共産党とは、イデオロギーは決して相容れないものの、国民党は、結党の地である中国大陸への郷愁を捨て切れず、民主主義の理念を上回って、言われるがままに中国政府の唱える一国二制度を受け入れてしまうのではないのか、そのために台湾市民(国民)の自由民主主義が政治リスクにさらされるのではないのか。

台湾は大きな島(国)で、大陸とは異なる文化や風習を育んできたというアイデンティティもあるはずだ。

こうしたことを思い出しながら、この作品を観ると、ファン・レイシンは、本当はどの様に振る舞えば良いのか理解しているのに、チャン・ミンホイへの想いや、イン・ツイハンへのジェラシーが上回ってしまい、ウェイ・ジョンティン達仲間を取り返しのつかない状況に追い込んでしまったと云うストーリーに擬えられているような気がするのだ。

映画は、エンディングで、長い年月を経て、どちらも向き合えるのだと上手くまとめているような気がする。

外形的には、大陸で生まれた政党であっても、国民党の大部分は元々の台湾市民(国民)の政党なのだ。
だから、同胞として、分かり合えるんだと結んでいる気がする。

勝手解釈でした。

ワンコ