「アメリカ的重力」リバー・オブ・グラス redirさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ的重力
リバーオブグラス、草の川、本来住んでいた先住民にとっては、湿地帯はリバーオブグラスで、縦横に拡張したアメリカの、下の方の層が今は特徴もない無味乾燥な街を形成している。
アメリカの多様性というか、多様性のなさというか、アメリカでも、ここに生まれたら逃れられないfate運命的ものに支配される人々。親やその親の世代からの、逃れられない退屈で平凡で、家庭というものがうまく行ってれば多分なんとか辻褄合わせて回収、上がりとなるような、、、
主人公の、30代家出女子は高校時代たまたま好かれた男と結婚して子どもはいるけどさしたる愛情も感じられず、暇になると体操の真似事が始まるが高校生まではそれなりに学校の体操チームでもやっていたのだろうか、父親のドラムのように、、、
人生のハイポイント、ハイライトが決して訪れそうにない人たち。草の川の流れに沿ってハイウェイを行ったり来たり。隣のカウンティへの小さな逃避行。やはりおそらく親の代からうまくいってなさそうなユダヤ教徒の格好の男。
最後に流れるグランジロック(Evergladed / Sammy))がちっぽけな2人、旅にも出られず街からも出られない2人の閉塞感を感じさせるし、流されているような、ワンダのような女性とは違う、自分の意思を持ってあてもなく希望もない人生を前進する女性。
家を出て家族を捨て新しい人生を探しに行くのは2人とま母親だった。ユーモアとドラムでこれまで人生やり過ごしてきた警察の父親、ステキなセレブ女性シンガーのレコードを集めおそらく人生の憧れを託していたリーのおばあちゃん、小さな街小さなカウンティでみんな繋がってしまって
この抗いがたいアメリカの重力。アメリカのいけてない出口なし浮上なしの田舎街の映画を見ると本当に貧しいアジアアフリカラテンアメリカのドキュメンタリーを見るときとは違う締め付けられる感じ、哀しみを感じる。
とはいえユーモアもあって、質感もとてもよい。