「セガ寄りの敗者の物語」セガvs.任天堂 Console Wars 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
セガ寄りの敗者の物語
アメリカにおけるセガのソニック人気がすごいのは、留学したときにも感じていたのだが、その理由がよくわからなかった。このドキュメンタリー映画は、その謎を少し解き明かしてくれた。
本作は、任天堂が支配していたゲーム機市場に、いかにセガが立ち向かっていったのかを振り返るドキュメンタリー映画だ。タイトルでは、セガと任天堂を対等に扱っているような印象を受けるが、どちらかというとセガ寄りの視点で、90年代に北米市場で繰り広げられたゲーム機のシェア争いを見つめている。
セガの参入前、任天堂のゲーム機シェアは全米で95%だったという。その圧倒的なシェアで市場を独占していた巨大な帝国に、セガは挑んだわけだ。その先兵となったのがソニックというキャラだったわけだ。そういう歴史があってか、ソニックは敢然と巨大な権力に立ち向かうヒーローのような、そういうイメージを重ねられていた面もあったようだ。
映画は、任天堂とセガの戦いだけではなく、セガUSとセガジャパンの内部争いにも触れている。日本側は当初アメリカの好きにやらせる度量を持っていたが、アメリカの成功に嫉妬しはじめ、足を引っ張るようになっていく。日本企業の良くない体質も描かれていて、ゲームファン以外にも刺さる部分の多い作品だ。
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