配信開始日 2021年12月9日

「【笑われるな、笑わせろ/笑ってみせる】」浅草キッド ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【笑われるな、笑わせろ/笑ってみせる】

2021年12月11日
iPhoneアプリから投稿

東京オリンピックの開閉会式のプランニングで、渡辺直美さんを豚に見立てて、”オリンピッグ”って案をオフレコでだったか提案した方が、企画担当を辞任したのを報道で知った時、この人は、ツービートの漫才で育ったんだろうなって、ちょっと思った。

“こんなこともダメなんだったら、お笑いが出来なくなる”とか、”企画段階のオフレコなんだから良いじゃないか”なんて声も、お笑いタレントを中心にあちこちから聞かれたが、たけしさんは何て思ったんだろうか。

きっと、俺が考えた漫才のスタイルに乗っかって、さも昔からあったふうなこと抜かすんじゃねえ!、じゃないだろうか。

僕は、そう思う。

それに、昔は、ブラックジョークは、カラッとしてて笑い飛ばす感じだったが、今は、陰湿なイジメなんかに結びつきそうな気がするのは、僕だけじゃないと思う。

人も世の中も随分変わってしまったのだ。

きっと、今、世の中に潜む陰湿さの原因は、SNSの影響なんだろうなと考えたりもする。

原作の「浅草キッド」は、ずいぶん昔に読んだことがあって、もう20年どころか、それより前かもしれないが、この作品を観て、とてもなつかしい感じがした。

浅草は、まだ、あんな佇まいを残してる気がする。

前に、映画「くじらびと」のレビューに、僕自身は鯨肉を食べなくなったと書いたが、たけしさんはよくクジラを食べる話をするのをうっすら覚えていて、はてと思っていたが、この作品を観てみて、原作を読んだからだったんだと思い返したりもした。

けっこう閉塞感漂う世の中だからこそ、お笑いは必要だと思う。

ただ、僕たちにも自分の失敗ややるせなさを、スカッと笑い飛ばせるようなエネルギーは必要なんじゃないかと思う。

この作品を観てみて、僕は、他人を笑ったり、嘲笑ったりするより、自分自身を決して卑下せず、自らを笑い飛ばせる方が自分自身の明日のエネルギーになるような気がした。

大泉さんも言ってたけれど、柳楽さんのたけしさん、良かった。

火葬場の費用、半額だってよ!

ワンコ