「カエルのPEPEに降りかかった苦悩と一筋の光。」フィールズ・グッド・マン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
カエルのPEPEに降りかかった苦悩と一筋の光。
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現代社会が持つ光と影を鋭く突き付けるドキュメンタリーだ。これは決して高い垣根の向こう側の事例ではなく、この時代に生きる誰もが即座に関わりを持つかもしれない話。そもそも強固な連携によって「カエルのペペ」をカルト的人気を誇るキャラへ飛翔させたのもネットの力ならば、そこから一転、作者の意図とは全くかけ離れた”ヘイトシンボル”へ変貌させたのもネットの力だ。そしてペペがもはや制御不能となって増殖していく一方、本作の基軸となるのは、血の通った人間である作者、マット・フューリーの個性だろう。おおらかで柔らかな印象を持つ彼はいつも陽気に微笑んでいる。この曖昧な態度が事態を悪化させたとも本編中では指摘されるが、しかしそんな彼だからこそ皆から愛されるキャラを生み出せたのも事実。ペペとマットがこの先どんな運命を歩むのか見当もつかないが、ラストに示される”希望の胎動”が何よりの救いに思えたのは私だけでないはずだ。
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