「ドラコルル長官が出色」映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
ドラコルル長官が出色
本来、2021年に公開予定だったので、偶然にも世界情勢をリンクする部分が出てしまったが、内容そのものは1985年版や漫画原作と大きく変わっていない。内容が変わっていないにもかかわらず、37年たっても世界情勢と重なるのは、原作の先見性というより、世界の根本は変わっていないということの現れだろうか。
この作品は、独裁者との対決を描くが、悪役のドラコルル長官は非常に優秀なのが物語を面白くしている。ひみつ道具持ちのドラえもんを知略で上回り、完全勝利目前まで追い詰めている。しかも、部下の命も人質の命も無碍に扱わない人道的な配慮もできるキャラクターで、民主的な国では大変に優秀な人材として活躍するだろう。
1985年版と比べると、独裁者のギルモアは一層駄目な奴に、民衆は一層勇敢に描かれている。ドラえもんたちのような外部の力で国を取り戻すのではなく、あくまで民衆が立ち上がることが大切としているのも今の情勢と重なる。
それにしても、あんな豪華なミニチュアセットを作れるスネ夫たちはすごい。
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