「香港版と米国版の合成バージョン」燃えよドラゴン ディレクターズ・カット アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)
香港版と米国版の合成バージョン
元々、米国版とそれに準じたインターナショナル版で世界的にワーナー配給で公開されている。
初公開時に私が観て、慣れ親しんだのも、そちらの最もシンプルな英語バージョン。
下記にあるような、ハンについての因果関係には特に言及しておらず、007の初作の“ドクター・ノオ”みたいなイメージになってた感じだった。
要するに「飛び道具を使わずカンフー(当時は空手映画と呼んでたが...)で闘うスパイ・アクション」的にみなしていたという事であった。
しかし、実はそれとは別にゴールデンハーベストによる広東語の香港公開バージョンが存在していた。
香港バージョンは、リー氏のキモ入りで、追加撮影により前半に高僧との会話シーンがあり、少林寺の裏切り者ハンについて触れており、クライマックスの鏡の間でのハンとの対決シーンにその高僧の教えの声が響くという関連性を持たせている。
ここから分かるように、実は“ハン”とは既に因縁のあった、訳ありな関係の相手であったということになり、これにより映画の印象もだいぶ変わってくる。
ただ「暗躍する悪のボスを倒す」痛快アクションというよりは、むしろ「少林寺の掟に背く者、そして肉親の敵でもある者を粛清する」、という目的が当初より課されての任務だった、という訳アリのお話しだったという事になるのであった。
このシーンを劇場公開版の米国版に追加したものが、ディレクターズカット版としてソフト発売されたものである。
更に、当時の香港版はタイトルバックが全く違っており、マカロニウエスタンなどに良くあるような、リー氏の写真を切り絵にしたようなのが動くような演出になっている事と、劇中のアンジェラ・マオ・インについて会話中で米国と香港版とで妹と姉と設定が違っている点が挙げられる。
一頃は、香港ではこのバージョンでビデオやDVDが発売、米国内での華僑向け専用ビデオも発売されていたが、現在は不明。
ついでに、香港リバイバル公開版ではまたタイトルバックが変更されており、こちらはリハーサルかアウトテイクの映像(動画)になっていた。