Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
全34件中、1~20件目を表示
ヘイリー・ベネットの多層的な演技に惹き込まれる
あまりにも主体性がないまま、裕福な家の主婦を続けている若い女性。彼女の日常への無意識の抵抗がとてもシュールな形で描かれていて、序盤は自我の薄さにまんまとイライラさせられる。しかし、いつしかいびつな抵抗は理由がつかめないまま切実さを増していく。そして最後には、なんとも痛快な女性のエンパワメントの映画であったことに気付かされるのだ。
精緻なスタッフワークに唸らされる映画だが、主演のヘイリー・ベネットが製作葬式も務めていて、いわば作りたい映画、演じたい役のために奔走したと言っていいのではないか。まさに映画における女性の描き方が問われている、今の時代に生まれるべくして生まれた野心的な企画。また、普通なら憎まれ役になりそうな義理の両親が、ちゃんと多層的な人物として描かれているのがいい。
近年、ヘイリー・ベネットは研ぎ澄ましたような演技を披露することが増えているが、本作は現時点での彼女の代表作になることは間違いなく、今後、彼女の名前がクレジットされているだけで要注目。今後の未来を占う道標のような映画になるかも知れないと思うほど、特異でありつつ王道な名作だと思っている。
ボブヘアーが似合ってて可愛らしい人。 すごい豪邸でガラス張りの開放...
ボブヘアーが似合ってて可愛らしい人。
すごい豪邸でガラス張りの開放的な部屋だけどなんだか閉じ込められてるみたいで、夫には愛されてるし両親も意地悪なわけじゃないのにナチュラルに見下されてて見てて苦しかった。
看護師に嫌味言われたり母親に遠回しに迷惑がられたり地味にメンタル削られる感じがしんどい。
表情や雰囲気だけで語るような場面も多いからちゃんと見てないと心情が読み取れなそう。
察して系映画かなと思う。
結婚を後悔すること
どんなにいい暮らしができたとしても、夫婦の信頼関係が築けてないと心が壊れていく。
夫は職場で人間関係を築いているのに対して、専業主婦は孤独だ。
近くに気軽に話せる友達でもいれば話は変わってくるが、孤独がより一層彼女を不安定にさせる。
一番近くにいる存在である配偶者に自分を理解してもらえないとなると、「なんで結婚したんだろ」って思ってしまう。
ただこの夫婦は単純にコミュニケーション不足だと思う。
妻は自分の過去を話すべきだし、夫は行動を起こす前に妻に相談すれば少なくともこんな結果にはならなかった。
夫は妻の事なめすぎだろう。
異物を飲み込む女
抑圧された状態から脱する(吐き出す)女の映画。
金持ちの妻になったハンターが金持ちの環境や妊娠のストレスから異物を飲み込むことに快感を覚えるようになる。
最後は母をレイプした父親に会い、自分は父親とは違うと決意して子供を堕ろす。
ぞわわってするー!
異食症、なんとなく聞いたことあったけれど、
こういう原因でなったりもするのか、と思った。
びっくりホラーとは違ってじわじわぞわぞわと
心を蝕む感じのスリラー映画。かなり好みでした。
ハンターが嫌がっていることとかに全く気が付かない旦那は本当の意味ではハンターのことを理解し愛していないのだな、と悲しかった。セックスのシーンも彼女に動かせて
自分は動かずに楽してイキたい。そういうのが滲み出ててしんどかった。
飲み込むものがどんどんと鋭利なものになっていって、
堕胎することで、レイプした父親と同じになりたかった?
ちょっと難しいです。解釈が。
いろんな人のレビューや考察を見てもっと勉強します。
ハンター役のヘイリーベネットが美しかった。
「孤独で息苦しい」ようには…
あらすじを読んでから映画を見た。
「寂しさによるストレスから〜」みたいなことが書いてあり、周りから相手にされず寂しさや抑圧感による異常行動なんだろうなと思ってたけど、
視聴してみるとちゃんと周りが気にかけてくれている描写が多くて、前半〜中盤は主人公に感情移入することが出来なかった。むしろお腹に赤ちゃんがいるのに気を遣わず何でも飲み込んでしまう主人公に自分勝手だという憤りさえ感じた。(結末の描写を考えるとまぁ愛する気は更々無かったのかもだけど)うわぁと思ったのは夫の最後の一言位かな。あとパーティのアジア女性デリカシーなさ過ぎなところ。
自分はこのハンターより周りから気を遣われることはないので羨ましい気持ちが勝ってしまいました。ちょっと面倒くさそうにしている義父と、余計なお節介をかけてくる義母なんてありがち。夫は仕事で忙しそうだけど愛情表現はちょいちょいしてくれる、不倫とかもなし。ハンターもいい子ちゃんでいよう!とかそういう自分を抑え込むみたいなことはなく満喫している描写が多かったし夫一家に口答えもたくさんしていたし。まぁそれが本当に嫌でしたと言われればそれまでなんだけど。じゃあなんで結婚したんだよと。蔑ろにされていたり寂しそうにしている描写がもっと多かったりしたらもっと共感できたかもしれない。
本当の父に会いに行った所もそんなにジーンと来る訳ではなく、もっと申し訳なさそうにしろやコイツととてもムカつきました。
でもハンター的には「君は僕と違う」と言われたことで、今から行う自分本意な中絶行為はコイツみたいな最低な行為ではないんだという免罪符的なものを得られたと思ったのかな?
思い切って何もかもにさよならしたハンターは良かったのではないでしょうか。あのまま行きずりに過ごしていたらいつか自死してしまってたんじゃないかな。
正直 何とも言えない映画でした。
ハンターがんばれ
映画館で観たかったが、タイミングが合わずアマプラで鑑賞
満たされない生活の密かな、小さな悦びであった遊びも奪い取られていく。
異物を飲み込む時の緊張感がこちらにも伝わり、呑み込めた後のハンターの開放感をいっしょに感じることで、ハンターが愛おしくなってくる。
家からの逃亡劇の時は思わず「がんばれ」と叫んだし、誰か助けてあげてと願った。
でも彼女は誰の助けも受けず、自分に戻った。
解放されて、開放された彼女の最後の微笑みに
エールを贈りたい。
最後の歌の歌詞「私たちは愛が欲しいだけ」
に涙です。
いい映画でした。
見ていて辛い
異物を飲み込む病気になった嫁の話
後々に原因が解ってくるのだけど、原因の痛みと異物を飲み込む痛々しさをリンクしていたと思うと悲しくなってくる
序盤予備知識なしで見たので、ただただスリラーで見ていて辛かった
今後の事を考えるとどうだろうと思う
映画なので今後も何もないのだが、もしあるとすれば重度の依存症になっているみたいなので解決は難しいかもしれない
映像が美しい、そして女優さん美しい
終始、ハンターの心をずたずたにするような人間が現れます。なんなんだ、お前らは人の心あるんか?と憤慨し尽くして、ハンターの心の内を考えると自然と没入できました。女性の感情の機微をうまく表現できた映画だと思います。
義両親からの圧力、髪型に対する指摘、自己啓発本を渡されるなんて私だって発狂ものです。息苦しい生活に自分自身の本質を見てくれない旦那。なんてさみしく辛い日々だろうと、考えていたら一筋の涙…。女優さんが可愛い少女チックなのも相まって守ってあげたい〜!と心の中の松任谷由実が叫んでいました。
そんな冗談はおいておいて
全体的に上手くまとまってはいましたが、物足りなさを感じる印象です。カウンセラーの旦那への密告に関しても、もう少しいい方があったはずですし、守秘義務というものがありますしね。あんなの心理学多少勉強してたら、絶対にしちゃいけないことだというのは分かると思います。
私はカウンセラーとして勤めた経験はないので、何も言えませんが。なんという残念ですね。
わたしは幸せ…?
彼も義理の両親も良くしてくれるけど
…しあわせは見せ掛け?
実は…ハンターは少しも幸せに
感じていない
ビー玉を飲み込んで快感を感じて
止められなくなってしまった
あらゆる金属片を口に最後は土まで
ストレスなのかそれとも
…妊娠したから
ボードピンなど飲み込んだ時は
怖かった
彼女の出生が彼女を苦しめていた
生まれてきてよかったのか
いろいろと悩みながら生きてきた
確かめたいことが…あった
そして本当の父に会い
父とは違うと言った
…その後
自分自信を取り戻せることが
できたのか…いまひとつ解らない作品
孤独な彼女が逃げたのは異食による自傷であった
2021年の年始に公開された本作。映画ファンの中ではかなり話題性の高い作品でした。
ざっくりしたストーリーは知っている状態でしたが、イマイチ私の好みとは違う気がしたのでなかなか見る決心がつかずにいました。アマゾンプライムで無料配信されていたこの機会に、重い腰を上げてようやく鑑賞です。
結論ですが、凄く面白かったです。
独特の色合いの絵作りであったり絶妙な人間関係であったり、そういう部分が非常に楽しめました。異食症ばかりがフィーチャーされて説明されがちな本作ですが、それ以上に家族間の人間関係が本作の面白さの軸になっていると感じます。
夫や義両親から疎外感を感じていた彼女が、最後に頼った相手が……。
色々と考えさせられる作品でしたね。
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若くして大企業の役員となった優秀な夫を持つハンター(ヘイリー・ベネット)。裕福な義両親から新居をプレゼントされ、地位も収入も高くルックスも良い夫に愛され、赤ちゃんを身ごもり……。傍から見れば幸せいっぱいの彼女であったが、彼女自身は完璧な夫の家族に対して本心で接することができず、疎外感を感じていた。ある日、彼女はビー玉を手に取った時に、それを食べたいという衝動に駆られ、飲み込んでしまう。それ以来彼女は、様々なものを食べてしまう「異食症」の症状に苛まれることになる。
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異食症は本作に登場するハンターのような妊婦に多いそうです。
妊娠中は鉄分などの栄養素が不足してしまうため、土や石などを食べたいという衝動に駆られるとのこと。通常は体に害のない小石や土や髪の毛を口にすることが多いらしいですが、ハンターは体を傷つけてしまうようなものまで食べてしまっているので、なかなか症状は深刻に感じられます。
異食症の治療方法としては、鉄分などの栄養補給や家族を含めた生活習慣指導などがあるそうです。なので、義母のジュース療法は治療法としては決して間違ってないですね。義両親は彼女の症状を受け入れて理解しようとする様子が伺えますが、肝心の夫は彼女の行動を激しく非難し、怒号を飛ばします。過度なストレスからか、異食症の症状が治まることのないハンターがどんどん追い詰められていくような描写が観ていて辛い。
そして最後のあの展開。ハウスキーパーの男性の協力で家から逃げ出したハンターが、最後に助けを求めたのは顔と名前しか知らない実の父親。父親とのシーンは個人的にはかなり感動しました。
色々と考えさせられる作品でした。異食症という刺激の強い部分のある映画ではありますが、多くの人に観てほしい作品です。オススメです!!
おっとりした若奥様の内面は・・・無限地獄!
とてもユニーク。とても複雑。そして唯一無二の独創性。
パステルカラーで描き上げた作品は、驚きと衝撃を秘めていました。
2019年(アメリカ/フランス合作)監督:カーロ・ミラベラ=ディヴィス
お金持ちの玉の輿に乗った若奥さまのハンター(ヘイリー・ベネット)は、
ハドソン川沿いの美邸で何不自由なく優雅に暮らしていました。
従順で理想的な妻を演じるうちに心は徐々に蝕まれていたのだろうか?
ある日、ビー玉を食べたい欲求を抑えきれずに、飲み込むのだった。
その行為が、なんともハンターには甘美な瞬間で充実感を覚え、
なんとも言えない解放感を味合うのだった。
→ビー玉→画鋲→虫ピン→小さなドライバー、
次々と呑み込むのをやめられない・・・
異食症と診断されるハンター。
(はじめて聞く言葉です。)
異食症とは、栄養の無いものを食べたくなる症候(紙・土・粘土・氷など、)
子供と妊婦に多く見られる。
ハンターはそう妊娠もしています。
本当に思いつかないユニークさ・・・ですが、後半、更に更に予想外の展開をして行きます。
本当に、監督・脚本のカーロ監督(女性です)
女性ならではの発想とそして発展と展開・・・凄い才能です。
後半は、ハンターの「出生の秘密」
ハンターはなんとも数奇な運命のもとに生まれたていたのです。
ハンターが背負いきれなかった「出生の秘密」
しかし彼女は、真正面から向き合い、戦いを挑み、運命をこじ開ける道を選びます。
見た目には、なんとも個性の薄いヘイリー・ベネット。
優しくふんわりした容姿から想像の付かない、パワフルで実力のある演技でした。
彼女あっての「SWALLOW/スワロウ」
女性なら共感できる優れた作品でした。
病
孤独からの異食症の発症。
初めはビー玉からどんどんエスカレートしていく。
子どもができても止まらない。
周りに異食症がバレて治療が始まるも止められない。
セレブな暮らしをしていても旦那や義両親といて楽しくなければ孤独を感じ、自分だけが浮いた存在になっていく。居場所がなくなって、どんどん窮屈になっていく。
家族が治療してくれるのも厄介者の自分をどうにかコントロールしたいからなのではないだろうか。
いい奥さんのフリができる奥さんに戻ってほしいから優しい言葉をかける。
カウンセラーを信じて話していたのに、その話は旦那に伝わってしまう。
消えてしまいたい。悪循環が止まらない。
自分の孤独は結婚後生まれたものだけではなく、生い立ちからくるものもあった。
今の生活から逃げようと実家に帰ろうとするも自分には実の父がそこにはいない。母がレイプされて授かった子が自分である。母が犠牲になってできた子。自分は愛されていたのだろうか。実家には頼りたかったけれど頼れなかった。
実の父親の居場所はわかる。
そこでは別の家庭をもった父親が子どものバースデイパーティを開いていた。
父親と接触し、話をした。孤独の始まりであり自分の始まりの場所。
話すことで、解放された。やっと進むことができた。
死に近い人間でもその人が動いてなにか行動すれば、変わることもできる。
もしかしたら悪い方にいってたかもしれないし、変われないかもしれない。
心は難しい。
本当のことを言うことは必要なのだろうか。
思ってないことを言うことは必要なのだろうか。
美しい。
パッケージに惹かれ、レンタルで借りたのにwowowオンデマンドで見つけるという悲劇を経て鑑賞。ちゃんと確認するべきだった。
人には勧めづらい映画ですが、個人的には刺さりまくりです。世界観も着地点の分からないストーリーも音楽もすべて良かった。あとは主演のヘイリーベネットがとても魅力的。ラストシーンなんかは30代というのが信じられなかった。
異食症という聞いたことはあってもよくは知らない病気が題材となっているが、この世界観に違和感なく表現されているが、その辛さは痛いほど伝わってきた。結局は幼い頃の家庭環境と確固たる居場所を見出だせない結婚生活に苦しみ発症したとすぐに分かるような酷い環境。逃げ出せていなかったらどんなものを口にしていたのか想像もしたくない。施設で制限される以上、元の環境に戻ればリバウンドも激しいだろうな。
結局はラストも明るい雰囲気とは裏腹に望まない子を中絶し、一人で生きることを決意するなど、救われていないようなモヤッとしたものだけど、それがなんだか心地良い、不思議で魅惑的な映画でした。
良かったね
枷でしかない結婚とレイプ犯である父親との関係はまあ清算できたのかな。でもあの母親電話の感じだとややこしいですね。これも何とかできるといいね。
夫と義父母のあまりにストレートな嫌な奴らぶりとか、ああいうご両親は結婚相手選びとかクビ突っ込んで来るんじゃないの?とか設定的にこまごま気になるところはあるけど、ちょっと幻想的な映像とヘイリー・ベネットの演技で緩和されました。声が小さくて自己評価の低い人丸出し、こういう人いるーって感じね。
プロ意識のかけらも無い看護師
プロット的に仕方がないことなのかも知れませんが、元訪問看護師としては難民出身の看護師の行動が何一つ理解出来ません。
・出会って早々に「戦場では精神を病んでる暇はない」つまりは「精神病は甘え」ととれる発言を主人公にする。
精神病の患者さんの看護にあたって精神病を否定する発言を行うことはありえません。
案の定、この発言を受けた主人公はストレスを感じて異食衝動に駆られています。
・主人公がトイレに行く際に、主人公のボディチェックのみを行いトイレ自体のチェックを怠っている。
自傷行為を行う可能性の高い患者さんに対して危険物のチェックが甘すぎます。
・錯乱状態の主人公がベッドの下に入り込んた際に、あろうことか一緒に寝いってしまう。
その隙をついて主人公はドライバーを飲み込んでしまいました。
・最後に何を考えているのか身を保護すべく精神病棟に向かう主人公の逃亡を手伝いました。
医療人としての責任放棄です。
精神病の主人公が自傷行為に走り、最後には胎児まで危害を及ぼしたことについて、主人公を責める気にはなれません。
病気とはそういうものです。
しかし、その主人公の看護を請け負った看護師には主人公と胎児を守る義務があります。
看護師が主人公の逃亡を幇助したせいで、胎児は誰にも守ってもらえずに死んだのです
なぜ看護師がそのような行為に及んだのか?
鑑賞する限りではその理由は読み取れませんでした。看護師が主人公と深く通じ合う描写もなかったように思います。
この看護師の医療従事者としてあるまじき行動の数々が、観賞後の私の喉のつかえとなってむず痒いです。
患者さんが診察の場で晒した秘密を勝手に家族にばらす精神科医もそうですが、
プロットの都合のためだけに用意されたようなプロ意識のかけらもない看護師の存在がこの作品からリアリティを消し去っています。
裕福な家庭に雇われているのです。
それだけ腕を見込まれているはずでしょう。
さらには難民出身ということで家族を養うために職を失うわけにもいかないはず。
なのに、何故そのような行動に出たのか?
説明が少なすぎて、やはりプロットのためだけに用意されたエセ看護師にしか思えません。
「自分」の居場所を探して
異物を吞み込むことで感じた得体のしれない達成感。その正体が、「自分にしかできないこと」だと頭で感じた瞬間、そのつまらない子供じみた好奇心で行った行為に虚しさに、彼女は、画鋲を吞み込んだときに涙した。なんともいえない人間らしい儚いシーン。
(子どもが生まれたら、私に対する対応が何かが変わるかも)という期待は日々を積み重ねるにつれて崩れていき、子どもが愛されるようになるだけで「自分」に意識が向くことはないことを理解していく。
酒に酔っていた夫の仕事仲間にハグを求められ、「自分が必要とされた」と思ってハグをやり返すが、後日その男は女性なら誰でもよかったことを知り落胆する。
過去の秘密(すべて)を話し、「自分」を見てくれるカウンセラーにハグをした=心を許したのに、夫にその情報が筒抜けで、「自分」が尊重されておらず落胆する。
最後の最後、母親頼れない結果、レイプした父親しか残っておらず、消去法で父親のもとへ向かい、「自分」の存在はなんなのかと聞きに行く。「自分」がわからないまま彷徨い歩き、たどり着いた結果はとても酷な方法でだったが、やっと「自分」でいていいんだと救われる。
自らの決断で子どもを堕胎し、「これまでの自分」を捨てて、「自分」を生きていく決意をするトイレでのラストシーン。入れ替わり立ち代わり女性が出入りするトイレ内のシーンは、非日常に近い一人の物語がいったん終わり、多数の女性が出入りすることで「日常」が画面に現れる。
『そんな日常の中に生きているんだよ』と、誰がどんな思いで生きているかはわからないまま「日常」を生きているんだよと。
戦争を経験した看護師役の男性は、痛みがあふれる世界で生きてきたからこそ、ヒロインの痛みを敏感に感じ取っていた。戦地にいる必要はない、安全な場所はある。逃げなさい。といわんばかりに、やさしさに溢れていた。そんな気がする。
胸にグッとくる、良い映画でした。
ヘイリー・べネットの美しさに見惚れる
レイプによって生まれ、周囲との決定的な違和感を常に持ち続けてきた主人公。異物を飲み込み、違和感を自らのうちに取り込むことで、内と外のバランスが得られ、多幸感を得ることを知った主人公の行動はエスカレートしていく。しかしそれゆえ、周囲との違和は決定的となる。
そうした環境からの脱出を試みた主人公はレイプ犯である父親のもとを訪れ、決別する。さらに違和のシンボルとしての胎児を堕し、新たな自分を獲得していく。
極力BGMを使わず、固く冷たい家具に囲まれた生活空間はいつも主人公を拒否し、静けさと原色と主人公の美しさで緊張感ある映像が続く。瞬時も目が離せない映画だ。
難しい…
ストレス性の病気は難しい。本人も周りの家族にとっても不幸。結婚し、周囲が羨むほど、裕福で何不自由ない生活、夫、夫の両親とも幸せに暮すのだが、彼女にとってはそれがストレスを生む、きちんとしなければならないという強迫観念を感じながら、苦しんでいた。異型物を食すことで、それが忘れられる。普通なら妊娠したのに、母体を危険に晒すような、そんなことしない、理解できないのであるが、これは病気なのだ。彼女にとっては夫や義理親、自分の親含めて、相談できる人がおらず、孤独だった。レイプ犯が父親というトラウマから来るものなのか、何が原因なのか分からない。映画ではその父親に会い、どこか自分が犯罪者の子供という劣等感、生まれてきてはいけないと思っていたことと訣別し、その後結局は中絶したのだろうか、これからどう生きていくのか分からないが、どこか吹っ切れた表情をしていたのが印象的だった。病気は恐ろしく、一人では治療できないし、本人、夫や家族にとってもこの結末は良かったのかもしれない。
不快なASMR映画
ASMRはそもそも快感そのものの意味なので
ジャンルとして捉えたうえで不快とさせてもらう。
飲み込む際の咀嚼音が丁寧で気持ち悪い。
それが、この映画の不愉快な質感を際立たせているが
咀嚼音自体が不快と感じる自分には相当つらいシーンが多かった。
映画としては、その方が効果的なのだろうとも思う。
そして、この映画。
主人公の女性が美人すぎるところが全てだと思う。
とにかく、この女性をキレイに美しく見せることに全集中をしているかのような
演出が、ほかの登場人物にとって不公平。
旦那の両親も素晴らしい人物のはずだし
旦那も素晴らしい努力家で人格者のはず。
しかし、この映画は終始 主人公を美しく描くことで
その他の登場人物を一段下に持ってきている。
うまさがある映画だ。
しかし、そんなにも厳しい嫁入りを強いるのであれば
事前に身辺調査位すればいいのにと思う。
それだけが、気になる点で、あとは面白かった。
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