出櫃(カミングアウト) 中国 LGBTの叫びのレビュー・感想・評価
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【”本当の自分でいたい・・””多くの国がジェンダーフリーの社会になれば良いのに・・” 困難な事とは重々承知しつつ、マジョリティ側の意識を変えなければ・・と思ったドキュメンタリー作品。】
ー 彼の国で、LGBTの問題を正面から扱ったを房満満監督に敬意を表したい。作品制作にあたり、相当な苦労があった事が容易に想像できるからである。-
◆今作では、
・男性の谷超(グーチャオ)と父親、女性の安安(アンアン)と母親の二組の親子関係が描かれる。どちらも、子から親へのカミングアウトをする姿と、その言葉に狼狽え、涙し、”自分の子には、幸せな結婚生活を送って欲しい・・”と苦悩する親の姿が描かれる。
■感想
・親に同性愛者としての自分を受け入れてもらう事の難しさが、伝わって来る。谷超も安安も
”世間には認められなくとも、自分の親には、自分の本当の姿を認めて欲しい”
という気持ちを強く持っている姿。
・谷超の父親の姿が、特に印象的である。久しぶりに帰って来た息子からの突然の告白。困惑しつつ、”お前の気持ちは分かるが・・、”
そして、谷超が教職員試験に落ちた電話をしたときの対応。”来年も受けるんだろ・・。身体に気を付けろ・・”
・安安の母親の姿はもっと分かりやすく、娘の将来を心配しつつ、親戚に対する面子も気にして、偽装結婚してくれ・・。
<現代中国の社会では、LGBTの方々が受け入れられていない事が良く分かる。その結果、本人と親が悩み苦しむ。
まずは、親が自らの子の”ありのままの姿”を受け入れるところから始まるのであろう・・。では、私の子供達から、同じことを告げられたら、私はその言葉を素直に受け入れることが出来るのであろうか・・、と思いながら映画館を後にした。>
<2021年3月14日 刈谷日劇にて鑑賞>
■鑑賞後、思い出した事。
・荻上直子監督が、「彼らが本気で編むときは」を公開した時の言葉。
”アメリカで過ごしていた時には、周囲には常にLGBTの人がいて、人種的マイノリティに属する自分に対して、彼らはいつも優しかった。それが、日本に帰国すると、自分の周囲のLGBT率は減少した・・。人類にはLGBTになる”あるパーセンテージ”があるのに、何故か日本ではLGBTの人が少ないように見える。違和感がある。”
今作は、中国が舞台であるが、日本社会でも性に関しては未だ後進国である事を実感した言葉であった。自分自身を含め、マジョリティ側の意識が変わらなければいけないのだ・・。
歩むべき道なんでしょうね。
LGBT7000万人中、95%がカミングアウトできていないと言われている中国。
全人口は約14億人です。少なくないですよね。
中国は目覚ましい発展で世界有数の経済大国となりましたが、LGBTについての理解やその浸透についてはまだまだこれからなのでしょう。
日本だって高度経済成長の頃は同様だったのではないでしょうか?それ以降も日本はLGBTについては寛容ではなかったはずです。今から40年くらい前、TVでは同性愛者は「イロモノ(すみません)」扱いでした。ですが今は全く違いますし、我々の接し方も変わってきてきると思います。
その頃の日本でも、同じように悩んでいた方々はいらっしゃったのでしょう。
社会が受け入れてくれないということよりも、親に受け入れえもれないという辛さ。
LGBT当事者とその家族5万人で構成される親友会という団体の女性(息子が同性愛者)が息子にカミングアウトされた際の辛い想いを伝えてました。息子さんは言ったそうです
「世界中が敵になってもよい、最愛の母(親)に受け入れてもらえれば生きていける」
自らを認めてくれる人が、もっとも近い親であることがどれだけ意味のあることか。
中国は親子や一族の絆が強いという印象なので、より強く求められるのではないでしょうか?
しかし、親の理解は進みません。親子の会話を見ているだけで辛くなります。
でも親は理解しないのではなく、これまで親が生きてきた常識の中では理解できないのでしょう。
そして同性愛ということに関しての情報の無さもその要因の一つでしょう。
現在の中国のLGBTに関する社会の理解はこのような状況です。
ということを知るには良いドキュメントだと思います。
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