劇場公開日 2021年4月9日

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「ホラー入門に最適、スラッシャーホラー映画へのオマージュに忠実な青春学園ラブコメディ」ザ・スイッチ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ホラー入門に最適、スラッシャーホラー映画へのオマージュに忠実な青春学園ラブコメディ

2021年4月24日
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鑑賞方法:映画館

洋服屋に勤める母と警官の姉と3人暮らしの女子高生ミリーはいわゆるいじめられっ子。親友のナイラとジョシュ以外に心を打ち明けられず、開催が迫っている高校のホームカミングパーティにも出る気なし。そんな毎日を過ごしているミリーが住む街の話題は“ブリスフィールド・ブッチャー”と呼ばれる連続殺人鬼。ある日母校のアメフト部の応援の帰りに独りで母の迎えを待っていたミリーは得体の知れない男に突然襲われる。誰もいないスタジアムで短剣を肩に突き立てられたその瞬間に雷鳴が轟き、ミリーは意識を失ってしまう。翌朝ミリーが見知らぬ廃墟で目を覚ますとその身体は見知らぬおっさんの体。その頃ミリーの寝室で目覚めたのはもちろんブリスフィールド・ブッチャー。彼は新しく手に入れた体で心機一転更なる生贄を求めてブリスフィールド高校に向かう。

去年予告を観た時から楽しみにしていた学園スラッシャーホラーコメディ。監督は『ゾンビーワールドへようこそ』、『ハッピー・デス・デイ』、『〜2U』と学園を舞台にしたホラーコメディで傑作を連発しているクリストファー・ランドンなので、実に安心して身を委ねられる演出。今回全面的にオマージュを捧げられているのは『13日の金曜日』に代表されるスラッシャーホラーなので、危機管理意識が乏しいクズみたいな連中ばかりが次々に惨殺される様はとにかく爽快。ミリーが大好きな映画が『ピッチ・パーフェクト2』だとか、ミリーの体を手に入れたブッチャーが登校するシーンに『ケ・セラ・セラ』を流すとか時折放り込まれるシャレにもニヤリとさせられます。あくまでもベースがスラッシャーホラーなので『転校生』や『君の名は。』的な甘酸っぱさは控えめですが、とりあえず胸と股間を確認するというお約束はちゃんとやりますしそれ以上のオチもしっかり用意されています。体が入れ替わってからのサスペンスは意外と『フェイス/オフ』に似たテイスト、さりげない目配せでミリーの家庭が抱える問題も浮き彫りにしつつ、典型的な学園ヒエラルキーを鮮血に染めながら破壊するゴジラのようなブッチャーとミリーの対決にはちゃんとスラッシャーホラーに欠かせないオチがつく安心仕様。普通想像する結末とはちょっとテイストの違うエンディングにお腹いっぱいです。正直どんなにイヤな奴でも現実では誰一人死んで欲しくはないわけですが、映画の中なら話は別。死ねばいいのにと思った奴がキッチリ殺される映画がもたらすカタルシスのおかげで明日も頑張ろうという気力が湧いてきます。なんか最近気が滅入るなと思っている人には断然オススメの作品です。グロさも控え目ですのでホラー入門としても最適かと。

よね