劇場公開日 2021年1月8日

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「より過酷な1年に乗り出そうとする若い社会人たちに元気を届ける」スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5より過酷な1年に乗り出そうとする若い社会人たちに元気を届ける

2021年1月9日
PCから投稿

楽しい

むしろ遅過ぎた感が否めない。「チャーリーズ・エンジェル」「ワンダーウーマン」「ハーレイ・クイン」等々、女性が主人公のアクション映画が数多く製作されているこの時代に、主演女優に代わって危険なスタントを演じるスタントウーマンにスポットを当てたドキュメンタリー映画が、このタイミングで作られたことが。本作には、上記の3作以外にも、「キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー」でスカーレット・ヨハンソンの代役を務めたエイミー・ジョンソンをはじめ、歴代のスタントウーマンが次々登場してインダヒューに応えている。それは映画ファンにとって、トリックの裏側を覗き見るようなスリリングな時間であると同時に、彼女たちがいかにしてこの分野を牛耳ってきた男性スタントマンと同等の権利を獲得するために闘い、性差別や嫌がらせに耐えつつ、命を脅かすような危険に身を晒してきたかを学べる、学習の時間でもある。これほど身近な存在でありながら、#MeTooムーブメントさえ見落としてきた映画界の空白地帯に着目した、製作総指揮を努めるミシェル・ロドリゲスの熱意を、まずは称えたい。おかげで、今後アクションシーンの見方が少し変わるかもしれない業界内ドキュメントは、同時に、差別や苦難を乗り越えて命懸けのスタントに挑戦し続ける裏方たちの姿から、単純に元気がもらえる、これぞ新年に見るべき1作。より過酷な1年に乗り出そうとする若い社会人に、是非見て頂きたい。

清藤秀人