誰かの花のレビュー・感想・評価
全3件を表示
自分だったらどうする
鉄工所で溶接工として働くタカアキは、認知症がすすみ徘徊する父と、そんな父を介護する母のことが気がかりで、たびたび実家の団地を訪れていた。しかし父はタカアキをみても数年前に事故死した兄との区別がつかない様子だった。ある強風の日に、団地のベランダから落下した植木鉢が住民に直撃し救急搬送される事故が起きた。父の安否を心配したタカアキはヘルパーの長谷川と急いで自宅に戻ると、父は自宅の風呂場にいた。ベランダへの窓ガラスは開いたままで、父がはめてた手袋には土が付着しているのをみつけたタカアキは、父への疑いを持つようになったが・・・てな話。
もし自分の親が何か事件を起こしたら、そしてそれを知ったら、親は認知症で本人は無自覚だったら、自分はどうするだろうか、って思いながら観てた。タカアキと同じ行動を取ったかも知れないな、って思う。
虫を裏返すシーンや母が手袋をゴミ箱に捨てるシーンなど色々と布石は打たれてて、どうなるんだろうと思ってたが、観る人に任せる、って終わり方だった。
観客が自分なりに解釈してください、って事なのだろう。
こういう問題提起型の作品も良いかも、と思った。
加害者を憎んでも未来は無い、ってことを伝えたかったのかも。
吉行和子はほんわかしてていつもながら良かった。ヘルパー長谷川役の村上穂乃佳が綺麗だった。子役・太田流星の逆立は上手かった。
脚本に違和感あり過ぎ
「あり得ない」と思う部分が多すぎて、没入できませんでした。
相太は賢そうなのに、一緒に料理していた父親がちょっと買い足しに出かけた間に他人に「病院に行こう」と言われて、すぐに父が戻ることも言わず父に連絡もせずに従ってしまう(このときリアルタイムでは父がどこにいるかは語られないのだが、その不自然さのために何か薄気味悪い)。
フラフラ出歩く認知症の夫をコンロの火を点けっぱなしで探し回るような妻が、夫を縛ろうとしたが縛れずそのまま病院に出かけたのに、帰ってきて部屋の前で事故が起きたと知っても慌てて夫を確認しようとしない。
病院にいる間に父親がマンション前の通路で事故に遭ったのに、相太を探して事故にあったのでは、勝手に病院に行かなければ良かったのでは、と悔やむ人物が一人もいない(遺族会でのそれぞれの遺族の話でも、自分を責めてしまうという描写がなかった気がする)。
遺族の会では、遺された人の痛みが癒えていくことではなく裁判で恨みを晴らすことを煽っている。
交通事故を「交通殺人」と呼ぶほどの遺族の会の会長が、相太を車に乗せてエンジンを掛けたまま忘れ物を取りに行く、などなど書き出せばきりがない程です。
監督のお話を聞いて、思いには共感するところが多かったのですが、作品は残念でした。
次回以降に期待しています。
細部のせいでバランスが悪く感じた。
大事な問題を扱った、丁寧の撮られた作品です。
吉行和子さんや高橋長英さん(西遊記での鬼やってた人)はさすがです。
カトウシンスケさんのボンクラぶりも良かったです。
環境音が丁寧に付けれられていたので、没入感がありました(これをあまり褒めたことがない)。
結論が提供されていないので、観客がそれぞれ考える作品です。由宇子の天秤同様。
しかし、細部に気になる点がたくさんさり、上手く頭の中でまとまりませんでした。
まず、二つの不幸な事件がありますが、これの状況はおそらくあえて、詳しく描かれません。
このため、関係者のたち場が不明瞭です。これは困ってしまいます。
住宅の位置関係も説明がありますが、俯瞰的に示すことがないので、
複数回見ると分かるかもしれないですが、一回ではよく分かりません。
ベランダの構造もわからないので、初めっから「全く関係ない」と感じてしまい、疑念の余地を感じませんでした。
そもそも、認知症は見当識障害・記憶障害・認知機能の低下です。(認知症って言ってない?それはなしで)
行動には何らかの意味があるので、突然奇行に出たりはしないんですよ。幻覚が出るタイプの病気ではありません。
リモコンを電話と間違える可能性はありますが、空耳とは会話しません。あそこは興醒めです。
では、ベランダで何があったのか?全然想像できません。花は何処にあったの?
手が汚れるのは分かるけど、足が汚れているのはどういうこと?ベランダの境目はあるの?
認知症の誤解につながる恐れがあり、心配です。
忠義は体は元気そうだし、マチも生活できている。
ケアマネージャーは介護ヘルパーではなく、デイケアを手配するはずです。
家族二人いるのに、ヘルパーは家で何するんでしょう?
世間話の相手ですか?
これもすごく気になりました。
患者会について。
どういう立ち位置の団体かは不明ですが、孝秋がずっと通っているので、まともに運営されているようです。
しかし、憎悪を煽っており、グリーフケアとしては最悪です。大石吾朗さんが異常者だったり、詐欺師だったり、
カルト宗教がらみだったらいいのですが。そこを考えさせるのか?患者団体が誤解される恐れを感じました。
孝秋だけ発言しないのも、気になります。
タバコについて。
今泉力哉監督もそうなんだけど、登場人物に会話をさせるのになぜ、喫煙所を使うのでしょう。
日本映画でしか見ませんよ。脚本家の発想が貧困だと思います。
里美は待ち伏せしても、パチ屋の中には入らないよ、きっと。
急性期病院で敷地内に喫煙所があるところはないし、公民館見たいな(おそらく)公共施設にもまずないですよ。
喫煙はボンクラのサインなので、孝秋は良いとして、灯が問題ある人物に見えてしまいます。そうなの?
不倫しているとか、多額の保険金かけているとか。そうすると、聡明な息子や感じのいい夫とバランスが悪くなる。
そもそも、古い公団か公営住宅になぜ引っ越してきた?も、すごく気になり、夫が問題?とも。
次回は、喫煙者ゼロでの作品を期待。
服装や植生の変化に乏しいので、嵐がきた、以外の季節感が感じられない。あ、台風だったっけ?
なので、時間経過がよく分かりません。
考えさせるため、わざと曖昧にしたのだとしたら、よくなかったと感じる点が沢山さります。
信頼できない語り手の、種明かしがなかったような。
全3件を表示