「細部のせいでバランスが悪く感じた。」誰かの花 kwmdさんの映画レビュー(感想・評価)
細部のせいでバランスが悪く感じた。
大事な問題を扱った、丁寧の撮られた作品です。
吉行和子さんや高橋長英さん(西遊記での鬼やってた人)はさすがです。
カトウシンスケさんのボンクラぶりも良かったです。
環境音が丁寧に付けれられていたので、没入感がありました(これをあまり褒めたことがない)。
結論が提供されていないので、観客がそれぞれ考える作品です。由宇子の天秤同様。
しかし、細部に気になる点がたくさんさり、上手く頭の中でまとまりませんでした。
まず、二つの不幸な事件がありますが、これの状況はおそらくあえて、詳しく描かれません。
このため、関係者のたち場が不明瞭です。これは困ってしまいます。
住宅の位置関係も説明がありますが、俯瞰的に示すことがないので、
複数回見ると分かるかもしれないですが、一回ではよく分かりません。
ベランダの構造もわからないので、初めっから「全く関係ない」と感じてしまい、疑念の余地を感じませんでした。
そもそも、認知症は見当識障害・記憶障害・認知機能の低下です。(認知症って言ってない?それはなしで)
行動には何らかの意味があるので、突然奇行に出たりはしないんですよ。幻覚が出るタイプの病気ではありません。
リモコンを電話と間違える可能性はありますが、空耳とは会話しません。あそこは興醒めです。
では、ベランダで何があったのか?全然想像できません。花は何処にあったの?
手が汚れるのは分かるけど、足が汚れているのはどういうこと?ベランダの境目はあるの?
認知症の誤解につながる恐れがあり、心配です。
忠義は体は元気そうだし、マチも生活できている。
ケアマネージャーは介護ヘルパーではなく、デイケアを手配するはずです。
家族二人いるのに、ヘルパーは家で何するんでしょう?
世間話の相手ですか?
これもすごく気になりました。
患者会について。
どういう立ち位置の団体かは不明ですが、孝秋がずっと通っているので、まともに運営されているようです。
しかし、憎悪を煽っており、グリーフケアとしては最悪です。大石吾朗さんが異常者だったり、詐欺師だったり、
カルト宗教がらみだったらいいのですが。そこを考えさせるのか?患者団体が誤解される恐れを感じました。
孝秋だけ発言しないのも、気になります。
タバコについて。
今泉力哉監督もそうなんだけど、登場人物に会話をさせるのになぜ、喫煙所を使うのでしょう。
日本映画でしか見ませんよ。脚本家の発想が貧困だと思います。
里美は待ち伏せしても、パチ屋の中には入らないよ、きっと。
急性期病院で敷地内に喫煙所があるところはないし、公民館見たいな(おそらく)公共施設にもまずないですよ。
喫煙はボンクラのサインなので、孝秋は良いとして、灯が問題ある人物に見えてしまいます。そうなの?
不倫しているとか、多額の保険金かけているとか。そうすると、聡明な息子や感じのいい夫とバランスが悪くなる。
そもそも、古い公団か公営住宅になぜ引っ越してきた?も、すごく気になり、夫が問題?とも。
次回は、喫煙者ゼロでの作品を期待。
服装や植生の変化に乏しいので、嵐がきた、以外の季節感が感じられない。あ、台風だったっけ?
なので、時間経過がよく分かりません。
考えさせるため、わざと曖昧にしたのだとしたら、よくなかったと感じる点が沢山さります。
信頼できない語り手の、種明かしがなかったような。
コメントありがとうございます。
あまり、誰かが読んでくれることを期待せず、好き勝手に書いただけですが。
同時期に鑑賞した『さがす』では、ALSの専門家の監修のクレジットがちゃんと入っていました。
私も同じような違和感を感じました。特に遺族の会の描写は、実際にそういう会があり、しかも誤解を受けやすいものでもあるので、監督の想像上はこういうものなんです、では済まされないように思って気になりました。